6、弟子の集大成に勇気ある一歩
次の日から早速皆んなに相談し、準備を始めた。
「食べ物とかの食料は、この時期だし早めに用意しても悪くなってしまうからギリギリでも良いと思うわ。」
「そうだな、他に持って行く物としてこちらの土や堆肥も持って行くつもりだ。」
馬車がどのくらいの積載量に耐えられるのかは分からないが、土や堆肥の重量はかなりのものだろう。
それに堆肥を混ぜてすぐに使えるわけではないはず。ここで学んだ事を活かして生活の基盤に農業を行うというなら
「さきに たいひもっていって、まぜまぜしておかないと。」
「そうは思うんだが、行ける時間もないんだよなぁ。」
研修が終わるまで後半月。確かに時間がないかもしれない•••
「あの•••、モス師匠に教わった事の集大成として、私どもにやらせてもらえないですかね?」
昨年より弟子としてこの村で勉強していた4人が、揃って申し出をしてくれた。
それにしてもモス師匠って•••
ちらっとモスさんを見ると、心なしか胸を張り澄まし顔をしていた。
何故だろう。ややイラッとしてしまったのは。
「風車村には2人先に行って、土作りと堆肥作りをします。
青竹村とマヌル村には1人づつ行って、加工方面をやろうかと思います。
それでここの研修生と合流して落ち着いた頃に戻ってきます。」
師匠云々は良いとして、弟子達はなんとしっかりした者達なのだろう。
1年間の勉強期間を経て自身の村へと戻ってからそれぞれの分野を活かして盛り立てて行くのだろう。
村をプラプラ、いやブラブラ•••どう見繕っても暇を解消すべく歩いていると、ライの姿が見えた。
ライに声をかけようとしたが、その隣にはビートさんやランさんが居た。
「この薬草はこうやってすり潰して、ガーゼとかに塗って痛いところに貼ると、痛みが取れるんだよ。」
どうやら自身の持ってる知識をビートさん達に伝授しているようだ。
「これとこれ、後この薬草はすぐ側の森で取れるよ。
分かるように粘土板も一緒に渡しておくから。」
ライは薬草の知識を教えているのだろうが、ビートさん達はそのライの姿に感動しているのか、涙で潤んだ視界では全く見えていないのではないだろうか。
リックのとこにもキースさんやリリーさんが居た。
「こうやって炭で印を付ければ作りたい大きさでそろえる事が出来るし、こうして紐に炭をつけてこの紐をはじくと線がつくから、真っ直ぐ切ることも出来るんだ。」
リックも技術を伝授しているようだ。
だがやはり目に涙を溜め、ただただ頷いている姿はどう見ても理解できているとは思えない。
まさかと思いエリンのところへ行くと、やはりコウさんやエマさんが居た。
「この葉っぱはあの村でもよく取れるから、色付けて売る事もできるわよ。」
エリン達が居た村でも出来る事や取れる物などを教えているようだ。
色々あり傷ついた子達だけど、この人達を見極めやり直そうと本気で思っている気持ちを認めたのかもしれない。
多分一生、心の傷はお互いに残ると思うけど、それを踏まえて一歩前進したエリン達を含めたこの人達の勇気を、凄いと思った。
閲覧いただき、ありがとうございます。
誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。




