4、メルトの吐露
祠で子供会をしている時、ふとメルトを見ると表情がいつもより何と言うか、暗く感じた。
いつもの笑顔が元気に上向きで咲いている花なら、今の笑顔は満開を過ぎやや萎れてきた状態だ。
「メルトどうしたの?」
心配で声をかけると、メルトは皆んなを見回してから口をパクパクとして言おうか言うまいか悩んでいる様子を見せた。
やがて意を決したのか、ポツリポツリと話してくれた。
「エリン達のように、私やお兄ちゃんにも産みの親が居るのは知ってるでしょ?
それで、もしかしたらいつかは会う日が来るかもしれないって思ったの。
その時は皆んなみたいに、強くなれるとは思えなくって•••
お兄ちゃんとも話していたけど、目の前にあの人達が居たらきっと私たちは逃げちゃう。
今のお母さんが本当のお母さんだと思っているし大好きだけど、あの人達を思い浮かべるだけで•••
か、体が勝手に震えてくるの•••」
そう言ったメルトは、恐怖で身をすくわせガクガクとさせていた。
恐怖に支配させるほどの事があったのは明らかだけど、簡単に何があったのかなんて聞ける事でもない。
4人でメルトを抱きしめた。
「メルトもこのむらの子だよ?このむらには しゅごしんだっているんだよ?
こわいことなんて ぜったいないよ!」
メルトが落ち着くまでやや暑い気温にも負けずに抱きしめていた。
「あら、皆んなでどうしたんだい?」
祠の入り口からそんな声がして振り向くと、タニタさんが籠を持ち立っていた。
タニタさんはメルトの表情を見て、何かを察したのか
「あらあら、うちの子はまた何て表情してるんだろね?おいで、メルト。
私の可愛い娘には笑顔が似合うよ?」
タニタさんが腕を広げた先に飛び込んだメルトをめいっぱいに抱きしめて、その愛情を惜しげもなく示していた。
やっぱり怖い事なんてないに決まってる!
いつだか母が言っていた。
子を持つ親は神にすら喧嘩を挑んでしまう覚悟を持ち合わせているって。
母の愛情は深く重い、じゃなく思いんだって。
メルトやオルトにとっての心の守護神は、タニタさんなのだろう。
あの腕力で、物理的にも守護してくれるに違いない。
だが、ナールさんには絶対にこの村へ連れてくるな、と一言物申したほうが良いだろう。
皆んなと別れてからナールさんの所へ行き、メルトの話をした。
「僕はこれでも商人として人と関わってきただけに為人は分かるつもりだよ?
エリン達の村の人達は元々、貧しい中でも頑張っていた人達だからやり直せると思って連れて来たんだ。
だけど、メルトの所は•••
これはルンちゃんでも言葉にするのは憚られる事だから言えない。
そんなんだから、間違ってもその村からは連れて来ないから安心して。」
きっと想像に絶する事なのだろう。
だが2人は、もうここで愛情をたっぷりと受け暮らしているのだ。
連れて来ないなら良い。
やっぱりメルトには満開の笑顔が似合うから、それを濁す事がない日常を享受してもらいたいのだ。
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