3、風車計画
研修が始まり2ヶ月経ち、夏の1月になった。
日々気温も上がり活動するには丁度良い気候となっていたが、同時に雨量も増えてきた。
今日も雨で外での活動が出来なく、それぞれが家の中で過ごしていた。
トントントン
誰かが訪ねてきて玄関のドアを叩いているようだ。
タオルを手に持ち父の後に続いて一緒に玄関まで行くと、ナールさんが立っていた。
すかさずタオルを手渡し任務完了。
こんな時に来るとはきっと相談だろうと、1番聞き耳立てられる場所へと陣取り準備して待っていた。
案の定相談事のようで、テーブルに着いた父やナールさんの話を何気なさを装い聞いていた。
「作って頂いた風車の設計図を基にしてあの村に建築する事は可能だと思うのですが、肝心の建築要員はどうしようかと悩んでしまいまして•••
この村の方にご協力願えれば1番なのですが、この時期行って頂くのは前回も不在にさせてしまっているだけに、どうしようかと••••」
どうやら風車の設計図が完成したようだ。
そしてまたしても父達に出張しろと言うのだろうか!?
前回と違い初めて建築するものだけに、きっと時間もかかってしまうだろうし何もない場所なら食べ物だって困ってしまう。
じーーっとナールさんを見つめていると、ナールさんが困ったような顔をして私を見た。
「そんなに睨まないで、ルンちゃん。
だから相談にきたんだよ?」
睨んでいるのではない、見つめているのだ。
「ダム同様、きっとこの国の役に立つものだから最初から国へ申請してみようかと思いまして。
申請が通れば国の事業となって、資金も王都の職人を借りる事も可能なのではと。」
なるほど、国へ申請すれば知識と技術を習得すべく職人達が召集される。
そして国は身につけた知識を使って、いずれは他に似たような環境の場所にもそれを建築して国全体の生活水準を上げようと思うはず。
なかなか考えているではないか。うんうんと頷き同意した。
「何だかルンちゃんが現場監督のように見えるのは気のせいかな•••?」
気のせいだ。
「あらあら、ルンちゃんはお父さんがまた居なくなると不安なのね。」
それは•••ないとも言い切れない。
「だが、それにしても設計図を理解している者が立ち会わなくても大丈夫なのか?」
父は私の頭を撫で撫でしながら当然の疑問をナールさんへ投げかけていた。
確かに設計図だけ見てすぐさま理解出来るような簡単な作りでもないだろう。
それは分かるが•••
無意識で父の服をギュムと掴んでいた。
何かが父の琴線に触れたようで、父は私を抱き上げ膝の上に乗せ頭にスリスリしてきた。
「大丈夫だよ、ルン。お父さんは離れないからな。行くとすれば設計図を描いたバーガーか現場監督にナールさんが行くくらいだ。
あぁ、愛娘に服を掴まれて行けるほど俺の心は強くない!」
父の発言にナールさんは盛大に引きつった顔をしていた。
そしてここでも苦労性のバーガーさん。
心なしか髪の後退が進んでいる気がするのは、きっと気のせいだろう。
心の中でそっと手を合わせておこう。
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