1、研修と見通し
新章スタートです
研修が始まって1ヶ月と2週間ほど経った。
ビートさん達貧しい村の人達が知らず知らずに巻き込まれていた事件に関しては、国に頑張ってもらうしかない。
それに、東側の村から来た研修生は何もビートさん達だけではない。
マヌルの木がある村の人達や全ての分野で必死に勉強している村の人達。
マヌルの木がある村の人達は先の見通しが立ち、安堵と共にこれからの事を思い益々自分達を奮い立たせていた。
残る1つの村の人達は、やや陰りのある表情ながらも懸命に勉強している。
「村には、なにがあるの?」
徐々に流暢になってきた言葉を駆使して、村の特性を聞いてみた。
「んー、俺らのところは本当に何もなくてなー
周りも木に囲まれてはいるが、これといった特産があるわけでもないんだよ。」
「どんな木なの?」
一言に木と言っても色々あるだろうし、それが何かの役に立つかもしれない。
分からなくても、木なら薪に出来る。それを需要が増える冬前に売る事だって可能だ。
「あー、木と言っても竹なんだよ。
だから、薪にも出来ないしほっておいたら村の中まで侵食しちまうほどなんだ。」
竹ですと!?竹と言えば竹の子!!
だが今はそんなところではない。
確かに竹の生命力は強い。親竹を中心に横に根を伸ばし徐々に侵食し、床下から幹を伸ばし床を突き破るほどの力もある。
たけ、たけ•••竹細工?
竹を加工しての竹細工はなかなかに趣やデザインによってはお洒落な物にもなるはず。
それを伝えたところ、日々竹の処理に頭を悩ませていただけに竹に囲まれた村の人達が飛びついてきた。
「なるほど、そうか•••!
伐採した後の竹の処分に苦労していたが、それを使えば良いのか•••
そうなると、加工方法や作る物とかを考えないといけないか。」
この村には竹がないので加工方法など実物を前にして考える事は出来ない。
でも、藁を編んでの加工方法なら習うことが出来る。強度も材質も異なる物だが、加工という観点で見れば勉強にはなるはずだ。
その日から竹の村の人達は、芸術面を磨くべく加工の勉強へ勤しんだ。
だがやはり不安はあるようで、同時にナールさんへ相談したらしい。彼らの願いを聞き、ナールさんは彼らの村から伐採して1本の竹を三等分にした長さほどの竹を、この村へと持ってきてくれた。
流石に長年竹と付き合っていた村人達らしく、きれいに切断された断面に感動した。
それをいくつか縦横切ってもらい、紐でくっつけてを繰り返し家の側面に立てかけてみる。
「おおー!これはなかなか良いね!
まるで竹の家みたいになる!!」
本当は足裏マッサージ用に作ってみたが、思いの外繋げるのが楽しくやり過ぎてしまったのだが•••
ひょんな事から出来上がったこの竹細工を機に、どうせなら自分達の家も竹で囲ってしまおう、と言う流れになったようだ。
何はともあれ、生活に見通しが立つのは良い事だ。
今度竹林を使ったライトアップでも伝えてみよう。きっと、幻想的な光景は観光客も訪れるほどになるだろう。
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