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村と幼女の幸せ計画  作者: 天狐
幸せ第10章
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10、いざ、発表会!②

耕耘機に丸薬、村用救急箱。まだ3つしか見て回っていないのに、もうお腹いっぱい感があるのはきっとハードルが思った以上に高いせいだろう。


その後モスさんなどは土壌の違いによって出来る作物の説明や、肥料を混ぜた土の違いなどを説明したりとなかなかに専門的な発表をしていた。

これはきっと、東の実情を反映しての事だろう。

研修生達も実際にこの1ヶ月農作業などに関わってきた分、ある程度は理解出来ているようで、土を触り比べたりして知識を吸収しようとしていた。


次に訪れたのは、エリンのところだ。


「これらの色は野菜から作りました。

ナスの深い紫色が出ればと思ったのですが、どちらかと言うと青灰色になりました。

こちらの薄いクリーム色のは玉ねぎです。」


草木染めと言うからには、完全に草や花から作るのかと思ったが野菜からも作れるなんて!

さすが染色工房!何からでも作る事が出来ると、見せつけたようだ。

そしてエリンは、親に背を押されおずおずと1枚の布を広げて見せてくれた。

それは青から緑へとグラデーションのように変色した布だった。


「色々試して、他の色も入れられるようになったから入れてみました。

こ、これは試作品だから売れないけど、参考になるなら、あげるわ。」


同じく青緑色の髪色をもつ女性とその横に立つ男性に向け、エリンは手を伸ばした。

女性はエリンの側に立つケインさんに目で確認し、ケインさんが頷いたのを見て恐る恐る手に取った。

そして、瞳を潤ませながらも大切に布を抱き頭を下げていた。


エリンは両親に抱きつき、誇らしげな笑みを見せていた。

どう気持ちが変化していったのかは、本人にしか分からないけど明らかに何かが吹っ切れたような表情は、こちらまで笑顔にさせてくれるようだ。


そんな胸にジーンとくる光景の後、私の出番になるとは思わなかった。

その為、発表の時に言おうと練習していた言葉が全て抜け落ちてしまったのだ。



「あぶら、はいのかたまりです!」


『•••••••••••?』


村人や研修生一同、理解不能に陥っていたようだが、その顔はパニクリ中の私にしたら


『だから何だ?』


と言われているように感じた。

一生懸命に作ったのに、何の反応もしてもらえなかった事が段々切なくて•••


「ひく、いっしょけんめー、ひっく、みんなとつくったのに••••うえーーん!」


いきなり泣き出した私に驚いた人達を無視して母に抱きつき泣きじゃくっている間に、父や兄達がやや目の据わった顔で説明をしてくれたようだ。


説明を聞いた人達は実際に使ってみて、大絶賛。


「いや、凄いものだとは思っていたけどルンちゃんがいきなり泣いてしまうし、ダン達の表情が鬼のようになるしで心臓がバクバクしたよ。」


バーガーさんのその言葉に泣き止み、周りを見ると皆んなが苦笑しながらも褒めてくれた。


「ルンちゃん、これ凄いよ!持ち運びも出来るし匂いも良くて洗うとしっとり!これは絶対に売れると思うよ!」


安定の商売魂を見せたナールさんの言葉だったが、問題がある。


「マヌルあぶら、たりない。」


今回石鹸に使ったマヌル油は、漸く生活に余裕が出て来たから買えたものだ。

普段はもっとお手軽な植物から取った油を用いている。

マヌル油自体植物の木の実から作られるも、1本の木から取れる採油量が少ないので少々お値段がお高いのだ。

そんな事を考えていると


「マヌル•••?あのマヌルから油が出来るのですか!?」


あのとはどのだか分からないが、そのマヌルだろうと頷いてみた。


「私たちの村の周りにはマヌルの木が植えてあって、食料が少ない時にはその実を食べていたんです。

もし良ければ、私たちの村でこの石鹸を作らせてはもらえませんか!!?」


聞くと、マヌル油の存在を知らず非常食扱いしていたそうだ。

これにはナールさんが飛びつき、一気に話が進み油にする工房を作ってその傍で石鹸を作ろうとなった。


トントン拍子とはこの事を言うのだろう。


閲覧いただき、ありがとうございます。

誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。

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