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1、プロローグ
あちこちで炎が燃え盛り、どこかで建物が崩れ落ちる轟音がする。
日常はことごとくが崩壊し、見るも無惨な有り様となっている。
数十分前まで喧騒の溢れていた光景はもう無い。
そんな状況の中で俺はただ一人、地面の上で尻餅をついて座り込んでいる。
いきなりの出来事に茫然としていた、というのもあるが、それ以上に目の前に鎮座する巨人の傍に立つその女性に見惚れていたという事があるだろう。
降り立った純白の巨人から現れた彼女は、すらりとした身体をパールホワイトのパイロットスーツで包み、光を放って輝くような金色の長髪を風になびかせる。
透き通るような碧眼を持った彼女はとても美しく、儚げで、とても戦場に生きる者とは思えない。
火の海の中で彼女と目が合う。俺は視線を逸らす事もできずにただただ見つめ返すことしか出来なかった。