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第6夜会 内通は如何にして-ヒーリングメッセージ(中編)

中編です。

前編からをオススメいたします!



「【七眼(ななのめ)】とはなんでしょうか?」


 ユアは当たり前の疑問を投げ掛けた。

 それにアーニャも頷く、チェルシーがシュリに替わって話そうとした時以外な所から声が上がった。

 それは、ロサナからだった。


「シュリさんの【七眼(ななのめ)】は有名ですわね。

 自身の片眼に魔力を込め七つの特殊な眼を使い分けることができるとか……

 【千里眼(せんりがん)】とかもその一つですわよね?」


「ええ。流石ロサナ先生ですね。

 本来【魔眼(まがん)】使いは一つの目しか使えませんが、私は七つの魔眼を使うことができます。

 まぁ【千里眼】は有名な一つであとの六つ全てを教えることはできませんが、今回使ったもう一つの魔眼をお教えいたします」


「シュリ、いいのか?

 確かにみんなは尊敬できるけど国力にも関わることだからさ」


「いや、大丈夫さ。

 私は短い時間だけど皆大好きな友人だと思っている。

 確かに全てを晒すわけには行かないけど、もう一つの魔眼もポピュラーなものさ。

 仲間を調べる時に使った魔眼は【色別眼(しきべつがん)】というものさ。

 温度などを色で判別することができる魔眼です」


「教えてくれてありがとうございます。でも、それでどうして人を調べることができるのでしょうか?」


 ユアは続けて疑問を投げた。

 それに答えるようにチェルシーは話そうとした時、今度はアーニャが割り込み説明をした。


「それはね~シュリの言う通り色で判別してるんだよ~

 例えばね……大好きな人に告白されたことを考えてみて?」


 ユアのみならず皆顔を赤らめた。


「それと同じだよ~。

 皆顔を赤らめた。それはね体温が上がって興奮してることを指している。

 シュリはその【色別眼】を使って人が嘘をつくことによって出てくる体温の変化を読み取って嘘か本当かを調べたんだよ~」


「なるほどです!」


 ユアは手をぽんと叩き納得した。


「まだ、ありますわ。

 洗練された【色別眼】使いは色付きで見えるポイントを絞ることができますわ。

 例えば、隣の部屋の温度をチェックし聞き耳を立ててる人物とかを探したりとかもね」


 ロサナがアーニャに続いて解説をする。

 シュリはそれに目を見開き驚いていた。


「驚いた。流石は王立魔法学園の校長と王国随一の科学者だ」


「なっ? 凄いだろ?」


「ええ……チェルシーが場違いなくらいね」


「おおいっ!」


 チェルシーがシュリに突っ込みを入れた所で切りがよくなり、本題へと話を進めた。


「魔眼の説明も皆が理解したところで本題に入るわ。私は千里眼での監視を行い。その後1対1の面談を行った。その時の内容がこうよ……」


……


……


◆面談:藤矢


「シュリさんどうしました? 俺を呼び出して」


「藤矢……作戦が漏れてるわ」


「えっ? 作戦が漏れているだって! どう言うことでしょうか?」


(ここまでの色は驚いている方って感じだ)


「作戦開始からまだ2日目が終わっただけですよ? シュリさんの気のせいじゃ……」


「気のせいじゃないわ。初日からおかしいと思っていたのよ。装備が揃いすぎ、要所のガードが硬い、2日目の僅かな攻め手の変化にも少し遅いがしっかりと対応してきた。これは間違いなく内通者がいるとみていい」


「シュリさんはそこまで……」


(落ち着いた色をしている……犯人ではないか)


「藤矢も異世界の知識で色々と気付いたことがあったら教えて……っ!?」


(今色の変化が! 何かに気付いた?)


「わっ、わかりました! 俺調べてみます!」


「ちょっ、ちょっと待って! 藤矢っ!」


 藤矢はシュリの声を無視したのか、聞こえなかったのかは不明だが次の日以降のシュリの呼び出しには藤矢は動揺、嘘ばかりだったという……


……


……


◆面談:リーン


「シュリさまどういたしましたか?」


 リーンは呼び出され落ち着いた様子で答える。


「シュリ……恐らく作戦が漏れてるわ」


「!? 気のせいではないでしょうか?」


(驚きの色が……淡々と話してはいるけども) 


「気のせいじゃないわ。初日からおかしいと思っていたのよ。装備が揃いすぎ、要所のガードが硬い、2日目の僅かな攻め手の変化にも少し遅いがしっかりと対応してきた。これは間違いなく内通者がいるとみていい」


「2日目で核心したみたいですね……2日目もですか……私はわからないですね」


(嘘は言ってない……でも、リーンには)


「ええ……リーンは大丈夫? 今回攻めている帝国のホルス領はあなたの妹がいるのではなくて?」


「はい。ですが王国の緑玄に狙われた領地にいる以上は制圧の際、無事でいてくれるのを願う他ないでしょう……」


(悲しい色……)


「リーン……ごめ」


「いいんです。私はシュリ……あなたについていくと決めたんです。何があっても……だから気にしないで」


(優しい色……)


「ありがとう。リーン」


「いいえ。私はシュリさまのお役に立てれば……」


 シュリとリーンは握手をした。

 それ以降のリーンへの質問は内通者に関しては動揺するものの、どうやって情報が流れているのか? 

 という質問に対する【わからない】という答えに嘘はなかった。


……


……


◆面談:レオーネ


「シュリどうしたんだよ?」


「作戦がバレてるわ」


「へぇ……ってマジか!? 気のせいじゃないのか?」


(うるさ過ぎる……)


「気のせいじゃないわ。初日からおかしいと思っていたのよ。装備が揃いすぎ、要所のガードが硬い、2日目の僅かな攻め手の変化にも少し遅いがしっかりと対応してきた。これは間違いなく内通者がいるとみていい」


「そっ……そうなんだ。でもシュリなら何とかできるだろ!」


(動揺? これだけではわからない)


「ええ。もう他の作戦も立てているから問題ないわ」


「だよね……シュリならできるよねー」


 ぴゅー……ぴゅーと口笛を吹き出すレオーネ。


(動揺……からの落胆かしらいずれにしてもわからない)


 これ以降何故かレオーネに動揺は見られなかった。



……


……


「これが面談の時の話よ」


 シュリは話し終えるとコーヒーを口に持っていく。


「あっ、怪しいとするとレオーネさんですかね」


「そうですわね。明らかに動揺していますし」


「レオーネを候補にいれましたが、なんというか……そう! 皆に分かりやすくいうとチェルシーに似てますね」


『あぁ~』


 ユア、アーニャ、ロサナの声が重なる。

 そして、チェルシーが話題に混ざる。


「いい奴ってところが?」


「チェルシーさんは放っておいて、レオーネさんがこんなタイプなら多分シュリさんも見抜いてますよね?」


「放っておくなし……」


「ええ。その通りよ。レオーネも付き合いは長い。それゆえに最初の態度は怪しかったものの私が考えつかないような作戦を思うはずない」


「でもさ~実は能ある鷹だったのかもよ~」


「それこそチェルシーと言えば皆も……」


「おいっ! さっきからなんだよ!」


 チェルシーが椅子から半立ちになりながら抗議する。

 その抗議を遮るようにふぅ……と吐かれた煙草の煙が少し揺らいだあとロサナが話し出した。


「やっぱり、リーンかしら。シュリの親友だし代役も勤めることのできる知者。作戦内容は勿論知ってますしそこからある程度対策はうてますわ。それに動機もありますし」


「それだとシュリの魔眼によるチェックはどうなのでしょう?」


「長い付き合いですわ。シュリは魔眼を使って調べてるか否かはわかるはずですわ。それに対して平常心を装うことは可能なはず……シュリも確実に嘘を見抜けるわけではないでしょ」


「その通りよ。動機だけで見たら一番の候補はリーンだと思ってる。しかし、普段は私のサポート。実行にうつせるかが不安でしかないし時間もないのよ」


「あとさ、藤矢も候補なんだろ? シュリの恋人のさ」


『ええー!』


「まっ! まだ違うから!」


「まだって! 羨ましいです!」


「でもさ~そんな最愛の人でも疑うのか? 根拠はあるんだよね~?」


「この際、最愛は置いておきましょう……藤矢は異世界から来た彼方人(かなたびと)。私の参謀につけたのも藤矢自身の魅力もありましたが、私の思い付かないようなことを思い付いたり、知識を出したりしてくれます。そんな藤矢が最近私に隠し事をしている……」


「なんか、めんどくさい恋する乙女だな」


「チェルシーに言われたくないわ!」


「んー、あたしは藤矢はないと思うよ。あいつのことはあたしも知ってるしシュリを裏切るようなことはしないはずさ」


「でも、シュリさんの思い付かないようなことを思い付く人なら可能性は一番高いのではないでしょうか?」


「ユアは藤矢だと思ってるのね。でも、藤矢は最初の面談のとき本当に知らなそうな雰囲気ですわ。わたくしはやはり、リーンではないかと……動機も十分ですし」


「ん~、なんかレオーネも怪しいんだよね~。引っ掛かる~……」


「皆が皆怪しいというか隠し事がある雰囲気で絞ることができない……それで皆さんに話したわけです。それでもやはり割れますね」


 皆が難しい顔をして悩んでいる時に温かい甘い香りがした。

 みなせが飲み物を配っていた。


「失礼いたします。ホットチョコレートとクラウドマシュマロのドリンクでございます……行き詰まった際は甘い飲み物で糖分を……」


 皆が温かい飲み物をフーフーして一口チビりと飲んだ。

 そして、同時にほっ……と息を吐くと蕩けたような顔になった。


「ありがとうみなせさん。落ち着きました」


 そのひとことでチェルシーはみなせに目を向けた。


「そうだ! そうだよみなせ! みなせはどう思うんだ?」


「そうですわね。話を聞いていて何かございませんこと?」


 チェルシーとロサナの追及にみなせは少し笑みを浮かべながら答えた。


「心当たりがないわけでもございません」


「流石~」


「失礼。みなせさんはオーナーではあるが給仕だ。お客の会話に入るのはどうかと思うのだが……」


「シュリさん。チェルシーさんから聞いたと思いますがこの食事会の名前は?」


 シュリに対してユアが質問をする。


「【蒼い(ティアラ)会】」


「そうです。このティアラ会のメンバーにはみなせさんも含まれております。故に会話に入ってもらっても大丈夫なのです!」


「シュリ。いい忘れてたけどそういうことさね。そして、今までの謎も解決してきたのはみなせだ」


 シュリは、ユアとチェルシーの発言を聞き目をぱちくりさせながらみなせを見た。


「給仕がお客さまの会話に入り込むなど本来無礼な行為でございます。しかし、もし発言をお許しいただけるのであれば恐らく1つの可能性を提示することができるかもしれません」


「いいえ。無礼を働いたのは私の方だわ。みなせさん。あなたが思ったことを聞かせてくれるかしら」


「かしこまりました……」


 シュリは不安そうな顔、いつものメンバーは目をキラキラさせながらみなせを見つめる。


「皆様の会話を聞いていた際、1つだけ納得がいかない部分がございました……シュリさま、あなたさまの部隊の治安でございます」


「私の部隊の治安?」


 みなせは少し困った顔をした。

 そうして、決心したように話を続けたのだった……





つづく

申し訳ございません。

久しぶりなので投稿する場所間違えてました。


長らくお待たせしてしまいました。

身の回りが忙しく更新できませんでしたが

これからはちゃんと投稿してまいります!

何卒よろしくお願いいたします!


今回のヒントはみなせの感じた違和感です。

前編部分のシュリの部隊の雰囲気、治安がキーポイントです!

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