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第4夜会 恋人のできた嘘のつけない狼男-ワードウルフ(中編)

中編です!

なんるべく前編から読むことをオススメいたします!



「三日前はイズミと一緒に水闘牛を買い取りに朝イチで卸売りにいき、そのあともイズミとコレットと三人でずーと一緒にここでレシピのミーティングをしていましたよ」



『……は?』



 みなせの一言により四人が固まり静かになった。

 その静寂を解いたのはチェルシーだった。


「あはははは! あのオカマやろう。嘘ついたな! そりゃみなせがアイツとそんな風にデートなんてしないだろうな!」


「そだね~良かった良かった!」


「私も勇気を出して聞いてみて良かったです」


「「「あはははは!」」」


 チェルシーの一言を機に話が弾みだした。

 そして料理の味もわかってきたのか。


「なんだ!? この肉! 凄いうまいな!」


「ほんとだ~口の中で蕩けるくらい柔らかい~」


「私! こんなに美味しいお肉食べたことないです!」


 再び時が動き出したかのように三人は舌鼓を打つ。

 みなせも全員のその反応を見てホッとする。


 しかし、ロサナが話に割り込みをいれる。

 それは当たり前の疑問だった。


「いやいや! 皆様なに解決したつもりでいるんですの!? まだ話は終わっていませんわ!」


「なんだよ~ロサナ。怖い顔してさ~このお肉食べなよ」


「そうですよ。美味しすぎて顔がふにゃ~ってなります」


「あなたたち……お忘れですの? マクレーンは嘘のつけない真実人(トゥルー)ですのよ?」


 その一言に皆が気が付く。


 真実人(トゥルー)という種族は嘘をつくと死んでしまうからだ。



「なんだよ? わかったの私だけか?」


『……』


 一瞬の静寂が室内を襲う。


「……何故マクレーンは嘘をついても生きているのか? みなせはデートをしていない。これは真実じゃないのかしら」


「じゃあ~やっぱりみなせはデートをしていたということ? おかしくない? だってさ~だってさ~みなせはイズミと一緒に1日いたんだよ~」


「ではマクレーンさんも実はいてそれをデートとマクレーンさんは思っていたということですか?」


「いや、みなせは自分を含め三人って言っていましたわ。そこをデートと呼ぶには無理がありますわ」


「作り話じゃないの?」


「アーニャさん……それは嘘と同じじゃないんですか?」


「おい。無視するな。私わかったっていっただろ」


 1拍おいて全員がはあ……っとため息をついたあとロサナが答えた。


「じゃあ、わかったという推理をお話くださる?」


「ふふん……魔法学校のロサナに、科学者のアーニャ、そして恋に夢見るこの中で一番女の子のユアにもわからないとはな?」


 チェルシーのどや顔に皆がいらっとする。

 その顔に気付かないままチェルシーは続ける。


「簡単な話だよ。魔法か薬品で幻を見ていたのさ」


『は?』


「謎のマクレーンのデート相手は魔法でみなせに変身してマクレーンとデートした。もしくは薬品を投与されて相手と思い込んだ! 

 そうすれば、みなせ自身はデートをしていないけど、マクレーンの中での出来事は真実になる。

 したがって、みなせはデートをしてないけどデートをしたことにマクレーンはなるってこと!」


『ないわー』


 ロサナ、ユア、アーニャが呆れた顔をして否定する。


「なんでよ? これが一番しっくりくるだろ?」


「まず私から話ますわ。変身魔法の線はなし。

 変身魔法は高度なものですわ。

 【骨格形成魔法】【声帯調整魔法】【ホルモンバランス調整】などなど、複数の身体調整をこなして初めて相手を完全に誤認させられますわ。

 ここまでできるのは王国の賢者で大富豪のセラヴァル=ガイラルディア=ヴェシレルフスキーさまだけですわ。他は声帯調整魔法で声だけとか、髪型だけとか……それもあくまで似せる。近付けるという内容。

 もともと優れた身体能力に洞察力がある真実人で、且つ相手はみなせ……騙されないでしょう」


「ぐぬ……」


「次にあたしね~。三日前ってそんな短いスパンに約半日から1日幻覚を見続ける薬品……そんなもん、あって堪るかよ……」


 いつものまったりとした雰囲気がアーニャから消え針積めるような恐い表情になる。  

 全員が息を飲むのにアーニャ本人が気付きいつもの調子に強引に戻す。


「あ~、まあそんなに強い薬品なら完全に後遺症がなにかしら出るはずだし何回も短時間に投与は流石に気付くでしょ~それをさ、こんな風に話すかね」


「そっ……そうか。また、当たったと思ったんだが夢物語か……」


 アーニャの雰囲気が戻ったが誰もそこには今夜は触れなかった。

 後の夜会にてその事件については明かされる。

 ユアが空気を別方向へとしっかり持っていくために話を整理し始めた。


「そうしたらさっきの話の中にデートをした相手のヒントがあるということですよね? 

 マクレーンさんは『あたしの話を聞いてみて誰か当ててみなさい』と言っていました」


ーーーーーーーーーーーーーーーー





 三日前のデートは最初はカフェに行ってフルーツ水とサンドイッチを食べて待ち合わせの時間を待ったわ



 しばらくすると彼が到着して小説を読んできたのか。

 片手には文庫本、かけていた眼鏡を取ると紅色の髪が綺麗に風に揺らされたわ



 カフェを出たあとは、ウインドウショッピングを楽しんだあと、お気に入りのブティックで買い物をして荷物を持ってくれた優しい彼に抱きついたの



 最後にレストランでディナーを取って彼が腕に巻いたブランドの時計を見て、夜も遅いし送るよと行ってくれて二人は夜の街に消えた




ーーーーーーーーーー



「たしかこうです。で私たちの目撃証言が

 アーニャさん:レストランで食事した。紅髪の青年

 (ユア):ブティックから一緒に腕を組んで出た。高級腕時計のおじ様

 ロサナさん:書店で本を買い。そのあとカフェで楽しくおしゃべりした若い男性

 この三人の登場人物の誰かですね」


「みなせもだろ?」


「みなせにはアリバイがありますわ。みなせは候補から外してもいいでしょう」


「一番有力なのはあたしの紅髪の青年だよ~」


「顔は見ましたの?」


「言いたいことはわかるけど~みなせには似てないよ。似てたらいうさね」


「なんでだよ? 高級腕時計はしていたのか?」


「この前来たシルビアなら観察するかもだけど、普通の人がそんなところまでみないよ~」


「いや、普通の人じゃないだろ」


「確かにですわ」


 皆同意することによりちょっとした笑いが起こる。

 そして真剣な話に戻り……


「でも、私もアーニャの見た人物の可能が高いと思いますわ」


「ロサナさん、どうしてですか?」


「魔法の介入するその一点について魔法が介入する余地があるからですわ。変装の達人というのをご存知? 変装の上手い方はその人の一点を完璧に近くまで模倣する。そうすることで皆観察という行為を忘れてしまいますわ」


「どういうことだ?」


「話をもっと具体的にしてみてよ~」


「例えば野生動物・昆虫が行う【擬態】でわかるんじゃないかしら。ほら、葉っぱや木の幹と同じ色になって自分の行方を眩ます。あと人間社会では制服や騎士の鎧……周りに近い姿をしているとしっかりと視認できない。

 つまり、髪型髪色を真似して顔の骨格を魔法で変えることによりマクレーンに誤認させた」


「なるほどね~」


「でも、私はそれじゃないと思います。ほら。マクレーンさんって人をしっかりと見るじゃないですか? 

 だから周りから相談を受けて慕われています。ロサナさんが言っていた完璧な変身魔法は不可能という時点で魔法の節はないのでは?」


 ユアのしっかりとした理由つけに皆が頷く。


「私は私が見たおじ様だと思います。髪色は白髪でしたが白髪周りの色を反射します。書店の近くのカフェは確か真っ赤な看板があります。それが白髪に反射したのであれば薄い赤の紅色でみなせさんと同じ髪色になるはずです!」


「腕を組むくらい中いいならその可能性もありますわね」


「むう~……私は自分の見たヤツを押すな~」


「でもさ、あのオカマ、友達なら誰でも抱きつくぜ?」


『……』


 マクレーンのフレンドリーさを思い出して全員が『確かに……』と納得したような顔をした。


「じゃあ、ロサナが見た書店から出てカフェでお茶をした男はどうなんだ?」


「確かに~それだけあんまり情報がないよね」


「ロサナさん。どうですか?」


 ロサナはタバコに火をつけて大きく吸い込み。ふー……と煙を吐いたあと方をすくめるように答えた。


「私の見た人じゃなさそうですわ」


「どうしてそんなことが言えるんだ?」


「マクレーンの話を聞きましたわよね? 

 その話の中には眼鏡のくだりは一言も出ていない……唯一近い部分があるとすると『本を持っていた』『カフェ』この二つだけですわ」


「ん? ロサナが見ていた時だけ眼鏡をかけていただけなのかもしれないじゃないか~」


「確かにそうです。本を読むときだけ眼鏡をかける人はいますよ」


「いや、私が見たのは書店から出てきた所から眼鏡をかけていましたわ。マクレーンの話と合致しませんわ」


「なーんか皆微妙にずれていんるだよな……あむ」


 チェルシーが出てきたデザートアイスを口に運びスプーンをモゴモゴさせる。

 ユアは小さな口にアイスを運び。

 ロサナは上品にスプーンで救い上げ、アーニャはまだ食べずスプーンでアイスを転がしている。

 


 ふと、話を聞いていたみなせがくすっ……と笑う。




「あ~! みなせが笑ってるぞ~!」


「どうしましたの? まさかこのとんちんかんなお話の答えがわかりましたの?」


「これは気付いたっていう笑いだな!」


「みなせさん! 勿体ぶらないで教えてください! 何が正しいんですか?」


 全員の問いかけとくすっと笑った自分をリセットするかのようにみなせはこほんっと小さく咳をする。

 そして、第一声は皆の予想を圧倒する。

 そして、驚きの声を上げさせる一声を投げ掛けた。


「皆様……一度答えに到達したにも関わらずより自らややこしい迷路に迷い混んで行ってます」



 そう。

 みなせが言うにはもう答えは出ているとのことだった。



 




次回解答編です!

はい……

実はもう答えを出しているメンバーがいます!



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