年越しは「おそば」に限る
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「椎名ー。おそばまーだー?」
「あーもう! 今茹で終わるから、こたつに入っていないで明梨はなると切ってろ!」
「えー? さーむーいー」
「こっちはガスコンロにの前に立っているから熱いんだよ!」
アタシが声を荒げると、明梨はだるそうに立ち上がった。
「うう、やっぱり寒いぃ……」
「ほら、なると」
「はーい。……ねえ、椎名」
「ん?」
「今年も、普通に生きちゃったねー」
「まーなー」
「でも私、後悔はしてない。お互いの好きな人が、幸せへの一歩を踏み出すところを見届けられたんだから」
「……それに関しては同感」
「……今年から、どうする?」
「…………」
「……えへへ、意地悪な質問だったね。お互いに」
「そう思ってんなら…………ほら、そばよそったからなると」
「おっけー。………………ん、おそば完成! 私と、椎名みたいだね。「おそば」だけに!」
「……はっ。だれうま」
そうして今日もまた、アタシは明梨の「そば」にいるのだった。