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5 乳児はのろわれている?

 失恋して意気消沈の乳児です……。


 人妻かぁ……あのおっぱいを好きに出来るドワーフのおっさんが羨ましい……。


 思えば、前世からこれだけおっぱい好きにも関わらず、おっぱいに縁がない気がする。男女共学だったのは小学生までで、中学校からは男子校だったし、大学も学部が理系だった所為か男子率が多かった。何人か女子も居たものの、男子と代わり映えのしないサイズ感だったし、就職後も同じ部署はほぼ男。結局童貞を卒業することなく転生してしまった。


 中学高校に関しては、なんとなく、母親の思惑を感じる。

 小学校の頃に好きになった女性がすべて年代関係なく、ある一点にのみ特化していた事に危機感を覚え、このまま男女共学の学校に進んで、息子が女性に悪さをするような犯罪者にならないかと心配して男子校に行かせたのだろう。まったく失礼な話である。

 俺は割と早くから自分の紳士部分を強化する為に合言葉を唱えてきた。


 イエス、おっぱい!ノー、タッチ!、と。


 おっぱいは神聖なものなのだ。女性の神秘。母性の象徴。すべての男性の憧れ。そこにあれば目が引き寄せられる。あわよくば触りたくなる。それは男として持って生まれた業としか言いようがない。しかし、簡単に触って汚して良いものではないのだ。


 偶然、男女がぶつかって、倒れた拍子に、ふにゃ、あわわ、キャー、バキィ!ひでぶっ!


 これが唯一許される様式美である。


 それ以外は、パートナーになってもらうしかない。しかし、それが一番難しい。

 これでも、まったく女性と縁がなかった訳ではない。男子校とはいえ、通学中には近所の学校に通う女子もいたのだ。気になった女性に告白したことも、されたこともある。しかし、実にならなかった……。


「好きです。付き合ってください。」


「どこ見て言ってるんですか。お断りします。」


 告白と返事はほぼこんな調子だった。

 モデルさんのようにスラッとした美人に「お付き合いしませんか」と言われたこともある。だが、彼女は……まぁ、過去の事はしょうがない。問題はこれからのことだ。


 現在の俺は、乳児エルフである。


 周りにいるのもエルフばかりである。


 そしてエルフは乳がない。


 おれが前世で望んだのは、「(おっぱい好きの変態でも許される程の)超絶イケメンになって、おっぱいハーレムを作ること」である。

 超絶は置いておいてもイケメンの部分は、どうも叶っている気がする。

 なにしろ、美形で名高いエルフである。

 現世父も現世母もすこぶる美形である。特に母は光り輝く美形である。

 時々、鏡で見る自分の顔も、赤ん坊らしくふっくらコロコロしているがびっくりする程整った顔をしている。

 母の部屋に侵入した時に見つけた姿鏡の前で思わず、自分の手を頬において、「あどぅどぅ〜?(これがわたし……?)」とつぶやいてみたくらいだ。


 しかし、おっぱいハーレムの部分はどうだろう。

 父と母を見る限りでは、一夫一婦制である。

 平安時代の様に、女性の家に男性が通う方式であれば別だが、父は毎日帰ってきているのでそれはないだろう。

 そして、肝心の、おっぱい部分。


 一番の肝心の部分がないのである。


 これまでに会った女性エルフ、全部無かった。

 家の中の女性達も、散歩中に街をすれ違う人々も。

 別の種族にはいるようだ。といっても、今の所出会ったのは先日会ったドワーフ妻のみである。

 ドワーフ女性を奥さんにしても許されるのだろうか……


 確か、前世の小説などでは、ハーフエルフはエルフに忌み嫌われていたり国を追い出されたりしていた。

 色々と小説とは食い違いがあるが、まだ情報が少ないので絶対にないとは言えない。

 乳児の身で集められる情報は圧倒的に少ない。

 しかし、これだけは確実である。


 エルフ女性に、おっぱいは、いない。


 もしかして、これは、前世の因縁か?

 何者かが俺の願い事に干渉してきた?

 一番に思い浮かぶのは前世の母である。俺のおっぱい好きをずっと心配してきた人だ。

 生まれ変わってまで、そんな、と思うが、母の愛は侮れない。

 というか、前世の死に際の願いが転生という事態を引き起こしたのかもしれないのだ。ありえない話ではない。


 俺にとっては愛という名の、呪いでしかないが。


 もしそうだとすると、出会ったおっぱいがすでに人妻であるとか、身近の女性におっぱいがいない、という事に説明がつく、かもしれない。


 呪い(愛)の類だとするなら、これから俺は理想のおっぱいに出会える可能性が極端に狭まることになる。

 前世の因縁(仮)に打ち勝つ為には、他種族の女性と恋に落ちるか、エルフの肉体を改造するか。ほっそりをぽっちゃりに、ができるなら一番かもしれない。なにしろエルフは美形が多い。俺は一番におっぱいに目が行く男だが、顔の美醜がわからない訳ではないのだ。太ったおっぱいは形が潰れていて美しくはないが。手っ取り早くはある。


 今の所、考え付くのはこの程度か……


 他種族のおっぱいに出会えない場合、出会えても成就できない場合、



 最悪、エルフを太らそう。



 俺は、ドワーフに寄って魔改造された脱出不可のベビーサークル内で、そう決意をしたのだった。



脱出しようとすると、にょきにょきと蔦が絡まってきて、ぺいっと内側へ戻される異世界仕様のベビーサークル。

ガンドルフさん渾身の力作です。

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