File8 カイは助産師さんになります。
小説家になろうをお楽しみの人類のみなさま、おはようございます。
延野正行です。
今日もよろしくお願いします。
※ カイの代わりに挨拶
どうやらまたトロフィーを獲得してしまいました。
カイはスクロールします。
“異世界通訳デビュー”
と書かれていました。
もう……!
こんな時に評価されても仕方ありません。
カイはタスクを後回しにしようとしましたが、スクロールは続きます。
すると――。
“モンスターの情報が更新されました”
ふえ?
何故か、変な声が出てしまいました。
もちろん自動的に、です。
もしや……。
カイは予測します。
一縷の望みをかけて、更新された情報をタッチしました。
そこには“ドラゴン”という項目があります。
カイはさらにタッチしました。
ドラゴンに関する情報がたくさん出てきます。
そこには千年竜のことも書かれていました。
そして――。
カチカチ……。カチカチ……。カチカチ……。
ありました!!
ドラゴンの御産に関する情報です。
出産の過程までバッチリ記載されています。
助産師さんに振り返りました。
カイが助産師さんになるので手伝っていただけないでしょうか!?
「あ、あんたが!」
はい!
カイは真剣な顔で言いました。
とりあえず、人間のお子さんのやり方でいいので用意してもらえませんか?
「わかった。お湯と――」
それに布をあるだけ。あと藁もたくさん持ってきてください。
「よし来た!」
助産師さんは腕をまくります。
女の人に声をかけにいきました。
「男衆はどうすればいいかのぅ」
村長さんが尋ねてきました。
何か重いものを、もしくは長い棒を持ってきてくれませんか?
村長さんは側にいた第1村人さんと顔を見合わせました。
「わかった。お安いご用じゃ」
「カイくん、大丈夫なのかい?」
村人さんは心配そうに尋ねました。
カイはドンと特殊炭素繊維の胸を叩きます。
大丈夫です!
人類のみなさまのため、ドラゴンさんに無事出産してもらいます。
またまた村長さんと村人さんは顔を合わせます。
そしてぷっと笑いました。
何かおかしなことをいったでしょうか?
「君は本当に変わっているな、と思ってね」
そうでしょうか?
ロボットだからでしょうか?
カイは自動的に首に角度をつけました。
ドラゴンさんの周りにいた人が、いなくなりました。
みなさま、用意のために一旦村に引き返していったのです。
カイはその間、ドラゴンさんを励まし続けました。
数時間して、また村のみなさまは戻ってきました。
女性の方は村にあるだけの桶にお湯を張って持ってきてくれました。
子供たちは藁を。
男の人たちは、鍬から刃を外して棒を握りしめていました。
カイが何より驚いたのが鍋です。
大きいです。すっごく……。
1つの鍋で1000人前のカレーが出来てしまいそうです。
「祭りや祝い事に使う炊き出し用の鍋さ」
助産師さんが説明してくれました。
少し得意げです。どや顔です。
みなさま、そこに持ってきたお湯を入れていきます。
あっという間に産湯ようのお湯が出来ました。
「お姉ちゃん、藁はどうするの?」
「違うよ。お兄ちゃんだよ」
「お姉ちゃんだよ!」
いきなりカイを取り合って喧嘩が始まってしまいました。
罪なおん――ロボットです。
カイはお姉ちゃんでもお兄ちゃんでもありません。
ロボットです。
的確な説明だったはずです。
しかし、子供たちは首を傾げます。
「ロボット? よくわかんないや」
「どちらでもないってことは、ホモってこと?」
ほ、ホモぉ……!!
「ホモって何?」
「男なのに女みたいな人……?」
「へぇ」
「え? なになに?」
「ホモのお兄ちゃんは、ホモのお姉ちゃんなんだって」
「「「へぇ……」」」
丸い目でカイを見つめます。
とても純粋な瞳です。
センサーの補正がおかしいのか、眩しく見えます。
ああ。どうしましょうか。
どんどん誤解が広まっていきます。
ロボットはホモ……。
管理者様が聞いたら、きっと怒ります。
……はずです。
誤解は早く解くべきですが、今はそれどころではありません。
カイは頭を下げます。
用意してくれた人類のみなさまへのお礼です。
感謝も基本です。
ご協力ありがとうございました。
パチパチ……。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……。
何故か拍手が送られてしまいました。
カイの顔は赤くなります。
自動的に、です。
優しい世界(´;ω;`)
次は12時に更新予定です。
よろしくお願いします。