表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/42

File7 子供ってどうやって作るんですか?

本日ラストです。

よろしくお願いします。

 村人さあああああああああああああん!!


 カイは走りました。


 実はカイは走るのが苦手なのです。


 ですが、走りました。


 一生懸命走りました。


 甲斐あって、ようやく逃げていった村人さんに追いつきました。


「や、やあ……。えっと……」


 カイです。通訳ロボットです。


「ああ。そうだったね。大丈夫だったかい? 何かされなかったかい?」


 はい。大丈夫です。


 この通り、どこも正常です。各部異常なしです。


 それよりも大変なのです。


「ドラゴンがいることよりもかい?」


 そのドラゴンさんが大変なのです。


「いやー。どっちかというと、我々の方が大変なんだけどなあ……」


 それはわかってます。


 けど、手伝ってほしいんです!


「手伝う!」


 はい。実は赤ちゃんが生まれそうなんです!


「え? ええ!?」


 村人さんは素っ頓狂な声を上げて、カイを指さします。


「君、女の子だったのかい? 確かに女性のような顔をしているけど、とても妊婦には……」


 何を言っているんですか!?


 カイはロボットです。


 ロボットに性別は関係ありません。


 プンプンです。


 頬を膨らませます。自動的に、です。


「そ、そんな怒らないでくれよ……。じゃあ、誰が!」


 ドラゴンさんです。


「ドラゴンさんって! あの!?」


 そうです。


 妊婦さんはドラゴンさんです。


「ええええええええええええええええ!!」


 村人さんはまた叫びました。


 よく驚く人です。


 喉とか大丈夫でしょうか?


「ドラゴンが妊娠しているのかい?」


 そうなんです。だから、手伝ってほしいんです。


「ど、ドラゴンの妊娠を手伝うって」


 もし無事に赤ちゃんが生まれたら、あそこから退くと約束してくれました。


「そうなのかい。……わ、わかった。1度村に戻って、助産師に相談してみるよ」


 お願いします!


 カイはぺこりと頭を下げました。




 それから2時間37分51秒ほど経ちました。


『大丈夫ですか、ドラゴンさん。もう少しで村人さんたちが村人さんを連れてきますからね』


『すまんな。異界の人形よ』


『カイとお呼びください』


『カイ……』


『はい!!』


 元気をよく返事します。


 カイはなるべく気が紛れるようにドラゴンさんに話しかけます。


 対人類用のマニュアルに記載されていました。


 はじめての出産は不安なので、なるべく話しかけるようにと……。


 ドラゴンさんに通用するかはわかりませんが、きっと役に立つはずです。


「おーい! カイくーん!」


 約300メートル後方から声が聞こえてきました。


 同時に多くの人の足音も。


 カイは振り返ります。


 視覚センサーを150%まで拡大しました。


 おじいさんやおばあさん、女の人や子供たちがこちらに向かって歩いてきます。


 先頭を歩く第1村人さんが大きく手を振っています。


 たくさんの人類のみなさまが、手伝いにきてくれたのです。


 みなさん、ぞろぞろとドラゴンさんの周りに集まりました。


 大半の人が怖がっていましたが、子供たちは「すげー」「大きい」と言いながら、眺めていました。


 時にはドラゴンさんに触ろうとして、お母さんに怒られていました。


「しかし、これまたえらい大きさのドラゴンだねぇ」


 恰幅のいい女性がドラゴンさんを見上げます。


 どうやら助産師さんみたいです。


 なにやら道具を持っています。


「おそらく千年竜じゃろう」


 長い顎髭の――いかにも村の村長さんっぽい人が、杖にもたれながらいいました。


 千年竜とはなんでしょうか?


「その名の通り、千年生きた竜じゃよ。いつもは高山や矢の届かない高い高い上空にいるのだが」


 と説明してくれます。


「普段は(つがい)と一緒にいると聞いたことがあるのじゃが……」


『そうなんですか?』


 ドラゴンさんに尋ねてみました。


『その通りだ。しかし、4日前の嵐の折りに離ればなれになってしまった。この通り、陣痛で動けないし、踏んだり蹴ったりだ』


 そういえば第1村人さんが、4日前は嵐だったといってました。


「お、お前さんはドラゴンの言葉がわかるのか?」


 村長さんは驚いて腰を抜かしました。


 第1村人さんが寄り添います。


「村長、驚いただろう。私もはじめは信じられなかったんだが……」


「んで? このドラゴンはなんていってるの?」


 助産師さんが質問してきました。


 先ほど、ドラゴンさんに聞いた話を訳しました。


 異世界での通訳ロボットデビューです。


 まさかドラゴンの言葉を訳すことになるとは予測できませんでした。


 でも、異世界らしくていいかもです。


「なるほどね。使えない亭主(つがい)だねぇ」


 助産師さんはうんうんと頷きました。


 ともかくどうしたらいいでしょうか?


「残念だけど、あたしは人間専門でね。ドラゴンの御産に立ち会ったことなんてないよ」


 そんな……。


 じゃあ、誰に聞けばいいんでしょうか?


「誰もいやしないよ。ドラゴンの御産に立ち会ったことがあるなんて」


「ドラゴンは高い山の中で出産すると聞いたことがある」


 村長さんは説明します。


「王都にだっていやしないんじゃないかねぇ。そんな人間……」


 どうしましょう……。


 カイは人工知能が焼き切れるぐらい思考しました。


 そうしてる間にも、ドラゴンさんの顔色がどんどん悪くなっていきます。


 もしかして、もう生まれるかもしれません。


『頑張ってください! ドラゴンさん!』


 話しかけますが、とうとうドラゴンさんは応じてくれません。


 代わりにゴフッゴフッと短い息を繰り返します。


「もしかして、御産が近いのかも……」


 助産師さんがドラゴンさんをのぞき込みます。


 その時です。


 “トロフィーを獲得しました”


 突然、メッセージが人工知能の仮想空間に現れました。


今日はこれにておしまいです。

お疲れ様でした。


明日も4本です! 頑張りますよ~(^o^)


明日は10時に更新します。

お休みなので、ゆっくり寝てください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ