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File4 トロフィーってなんですか?

本日もよろしくお願いしますm(_ _)m

 人類のみなさま、おはようございます。


 通訳ロボット『カイ』です。


 みなさま、ドラゴンって知ってますか?


 1度は聞いたことがありますよね。


 でも、ドラゴンを見たことがありますか?


 そうですね。本や映画の中では見たことありますよね。


 けれど、現実には見たことあるっていう人いますか?


 さすがにいないですよね。


 え? 見たことある?

 じゃあ、良いお医者さんを検索しておきますね。


 では、みなさま、驚いてください。


 なんとなんとカイの目の前に今、ドラゴンがいます。


 センサーがおかしいわけではありません。


 異世界で、第1村人発見した5分後に、第1ドラゴンを発見してしまいました。


 すごいです。快挙です。


 異世界にはモンスターや魔物がつきものです。


 最初はゴブリンとかスライムとか、弱いモンスターが出てくるのに……。


 いきなりドラゴンです。


 ん?


 よく思考したら、これはピンチではないでしょうか?


 けれど、見たところドラゴンに敵意はありません。


 寝ているだけです。


 隣にいる村人さんにも反応している様子はありません。


 歯牙にもかけません。


 ドラゴンはモンスター オブ モンスターです。


 戦闘力「5」(ゴミ)のカイなど眼中にないのかもしれません。


 しかし、なんでこんなところにいるのでしょうか?


「3日前にここを通った時には何もなかったんだよ。そしたら、今日突然――」


 なるほど。村人さんもつい最近、目撃したようです。


 村人さんは麦わら帽子を脱いで、白髪まじりの頭を掻きました。


「でも、弱ったねぇ」


 確かに弱りました。


 道の真ん中にドラゴンです。


 今は寝ていますが、いつか起きて暴れ回るかもしれません。


「ははは……。それは大丈夫だよ」


 村人さんは笑いました。


 どうしてそう言えるのでしょうか?


「竜というのは大人しい生き物なんだ。よっぽどのことがない限り、人間を襲ったりはしないよ」


 そうなんですか。


 記録しました。


 異世界の知識を取得です。


 そうですね。


 でもなければ、こんなに近づいたり出来ないですよね。


「こいつはただ休んでいるだけさ。しばらくしたら、飛んでいくだろう」


 たしかに……。

 ドラゴンさんの瞼は固く閉じられています。


 なら、なんで弱っているのでしょうか?


「いやー……。実はね。もうすぐ行商が大量の生活用品や食料を馬車に積んで、ここを通るはずなんだよ」


 行商? 馬車?


「私の村はね。都市からずっと離れているから、生活用品や食料の供給を行商人に頼っているんだよ」


 自分たちでは買い出しにいかないんですか?


「そうしたいのは山々だけど、女子供以外は、老人ばかりでね。そういう訳にはいかないんだ。この辺りは安全だけど、野盗も出るし、夜になれば凶暴な魔物や野生動物が現れるからね」


 なるほど。


「月に1度、行商が来るんだけど、今日がその日なんだよ」


 村人さんが行商さんを迎えに行く途中、ドラゴンさんが道の真ん中で居座っているの発見したみたいです。


 それならドラゴンをよけて通ってもらえばいいんじゃないでしょうか?


 村人さんは柔らかく笑みを浮かべました。


「見てごらん」


 道の両脇を指し示します。


 視覚センサーの望遠機能を使って、カイは注視しました。


 歩いている時には気づきませんでしたが、ぬかるみになっていました。


 これでは馬車は通れません。


「この辺りは水はけが悪くてね。4日前の嵐で雨が降ったんだけど、未だに乾かないままなんだよ」


 村人さんの話を聞きながら、カイはホッとしました。


 もし異世界に来るのが1日早ければ、カイは嵐の中に放り出されていたかもしれません。


 カイのボディは、耐水、防水に優れています。


 ですが、電気で動いている以上、水は良いものではありません。


 出来れば、濡れないことが望ましいのです。


 カイは話を戻します。


 もし、ドラゴンさんがこのままだと、行商人さんはどうするのでしょうか?


「おそらく帰ってしまうだろうね。彼らも商売だから……」


 ボランティアではないということですね。


 商売の世界は厳しいです。


 つまり、ドラゴンさんがどかないと、村人さんたちは困るのですね。


「ああ……。飢えて餓死者が出るということはないだろうけど、村には赤子がいてね。母親に精あるものを食べさせないと、良い乳が出なくなるからね」


 なるほど。だから、村人さんは困っているのですね。


 カイは考えます。


 村人さんは異世界の人ですが、人類であることに変わりありません。


 そしてカイはロボットです。


 ロボットは人類のみなさまを守らねばなりません。


 3原則にもそう書かれています。


 だから、やることは1つ。


 人類のみなさまのためには、ご奉仕しなければなりません。


 しかし……。


 とはいっても、相手はドラゴンです。


 カイのアクチュエーターは、最大で200㎏のものを持ち上げることが可能です。


 ですが、どう考えてもドラゴンさんの質量は、少なく見積もって2000トンはありそうです。


 とてもではないですが、持ち上げることは出来ません。


 では、カイが物語の勇者のようにやっつける。


 残念ですが、勝率は限りなく「0」に近いです。


 カイは戦闘用ではありません。


 素早く動くことも出来ません。


 ドラゴンさんに踏みつぶされておしまいです。


 カイは村人さんと一緒に、首を傾げます。


 ……弱りました。


 と、その時です。


 不意に人工知能にメッセージが表示されました。


 “トロフィーを獲得しました”


 ……え?


 トロフィーってなんですか?


ストーリーもゆっくりやっていくので、

よろしくお願いします。


次は12時に更新予定です。

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