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File39 今回は緑色成分が多めです。

第39話です。

よろしくお願いします。


 ゴブリンのみなさま、こんにちは。


 通訳ロボット『カイ』です。


 パパさんに会いに来ました。


 え? パパさんって誰だ、ですか?


 ココさんのパパさんです。


 あ……。ありがとうございます。


 カイは腰部を曲げて、お礼を言いました。


 洞窟の奥へと進んでいきます。


 カイは今、ゴブリンさんの根城に来ています。


 ガーゴイルさんを倒した時ですから、本当に久しぶりです。


 横穴にたくさんのゴブリンさんが住んでいました。


 元通りになって良かったです。


 みなさん、珍しそうにカイを一瞥します

 ですが、襲いかかってくる様子はありません。


 どうやらカイを仲間と認めてくれたようです。


 カイもすっかりゴブリンさんの一員です。


 奥にいるというパパさんの部屋に向かいます。


「あああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 大きな声が聴覚センサーに引っかかりました。


 90dBです。助産師さんにはかないません。


 まだまだです。


 振り返ると、ココさんがいました。


 しかも――。


「お前、なんでここにいるんだよ?」


 カイが思考する前に、ココさんは追及します。


 パパさんに会いに来ました。


 ところで――。


「パパに会いに来た? 本当だろうね」


 嘘なんてつきませんん。


 カイはロボットです。


 情報を守秘することはあっても、嘘を吐くことなんてありえません。


 それよりも――。


「どうだか! 本当はガーゴイルみたいにここの根城を取りに来たんじゃないの?」


 そんなことはしません。


「は! どうだか!!」


 そんなことよりも、ココさん……。


「なんだよ、さっきから」


 カイは指をさします。


 肌色――いえ、緑色成分が多めのココさんをです。


 ココさんは何も身につけていませんでした。


 一糸まとわぬ姿です。


 大きな胸はとにかく柔らかそうです。


 もしかして、また大きくなったんじゃないでしょうか。


 つまりは――。


 ココさんは真っ裸でした。


「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁあぁああああ!!」


 ココさんの悲鳴が洞窟一杯に響き渡ります。


 101dBです。なかなかの数値です。


 ココさんはその場で蹲ります。


 顔が真っ赤――いえ、真っ青です。


 身体を隠しましたが、遅いです。


 カイの記憶領域にバッチリ保存されています。


 なるほど。参考になりました。


 ゴブリンさんの身体って、人間と酷似しているのですね。


 特に女性特有の器官の色もピン――――。


「カイのバカぁああああああああああああ!!」


 平手が飛んできました。


 カイは痛くありません。


 代わりに悲鳴を上げたのは、ココさんの方でした。




 一悶着あった後、カイはパパさんがいる部屋へとやってきました。


「お前たちは会う度に、何かしら騒動を起こしているな」


 パパさんはあきれたように禿頭を撫でます。


 その背中には薄い毛皮を着たココさんが隠れています。


 まるで親の仇みたいに、カイを睨んでいます。


 おかしいです。


 ココさんのママさんを殺したのは、ガーゴイルさんのはずです。


 センサーのレンズを向けました。


 ココさんはさらに目を三角にして睨み返すと、ふんとそっぽを向きました。


 様子を見ていたパパさんは、また頭を撫でました。


「ところで、カイ……。今日はわざわざ根城まで来て、なんの用だ?」


 ココさんのことは気になりますが、カイは説明を始めました。


 主題は「カイが王都に行く」という件です。


 パパさんは黙って聞いていました。


 ココさんも同じでした。でも、とても驚いていました。


 すべてを説明し終えると、パパさんは1つ息を吐きました。


「率直にいって、お前がいなくなるのは困る」


 はい。おっしゃる通りだと思います。


 ですが――。


「話は最後まで聞け。何も反対するつもりはない」


 では……。


「俺は行ってもいいと思っている。お前には世話になった。今こそ恩を返す時だ」


 ありがとうございます。


 カイは頭を傾けました。


「だが、言語はどうする?」


 3ヶ月の間でできる限り、みなさんに語学を習得してもらおうと思っています。


 人類のみなさまも、ゴブリンのみなさまも、だいぶ話せるようになりました。


 3ヶ月集中すれば、日常会話なら問題ないと思います。


「なるほど。……だが、仕事上の会話はどうだ? それにもうすぐ種まきの時期が始まると聞いている。俺たちがわからない単語が出てきたらどうする?」


 それについては、辞書を引いてもらおうと思っています。


「じしょ?」


 カイは分厚い紙の束がパパさんに渡しました。


 ゴブリン語を訳したものを、用途別にして区別してあります。


「なるほど。わかりやすい。お前、いつの間にこんなものを作ったのだ?」


 昨日の夜、作りました。


「一晩でか。もしかして寝てないのではないか?」


 カイはロボットです。


 充電するため、一時的にスリープ状態になることはありますが、人類のみなさまで言う「休む」ための機能は、カイにはありません。


「よくわからんが……。ともかくありがとう。これがあれば大丈夫だ」


 村のみなさまには、人間語をゴブリン語に訳した辞書を渡してあります。


 おかげで、カイの中にあったペーパーロールは切れてしまいました。


 ほしがっていたロスさんには申し訳ないですね。


「出発はいつだ?」


 まだ決めていません。


 村でやり残したことが終われば、すぐにでも行こうと思います。


 ロスさんを待たせるわけにはいきませんから。


「そうか。少し……寂しいな」


 するとパパさんは自分の背中に隠れているココさんを呼びました。


 どこかほおけています。


 パパさんはココさんの首根っこを掴むと、カイの前に立たせました。


「お前からも何か言ってやれ」


 ポンポンと頭を叩きます。


「そんなこと――――」


 ココさんは顔を真っ青にします。

 カイの方を見るなり口を噤んでしまいました。


 すると、パパさんの手を振り切って、部屋を出て行ってしまいました。


 どうしたのでしょうか?


 カイは首に角度をつけました。


 自動的に、です。


あと今日を含めて3回になります。

ここまで読んでいただいた方、評価・ブックマークをいただいた方、本当にありがとうございました。


明日もいつも通り7時に更新します。

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