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File32 このお酒は売れますか?

第32話です。

よろしくお願いします。

 カイは村長さんの家に行くことにしました。


 そこかしこに昨日の宴会の跡が見て取れます。


 毎日、お祭りみたいになっていますが、この村って裕福なのでしょうか?


 カイは自動的に首を傾げます。


 一部、家の壁が崩れていたりします。


 地面がえぐれていたりしていますね。


 何か凄い力を持つ同士が、暴れ回ったようです。


 村長さんのところに行くと、村のみなさまが数名集まっていました。


 おはようございます。


 カイは挨拶すると、第1村人さんが近づいてきました。


「おお。カイくん。昨日は凄かったね」


 えっと……。何が凄かったのでしょうか?


「また覚えていないのかい?」


 先ほど、消去しました。


 何かみなさまに粗相をしたでしょうか?


「そうかそうか。まあ、飲ませた私たちも悪かったしね」


 第1村人さんは苦笑します。


「おはよう。カイ」


 次に挨拶してきたのは、助産師さんでした。


 何故かとても色つやがいいです。


 どうしてでしょうか?


 助産師さんは近づいてくるなり、カイに耳打ちしました。


「あんた……。ゴブリンの娘にちゃんと謝ったかい」


 はい。一応……。


「そうか。あの子もゴブリンだけど女の子なんだから、ちゃんと大切にするんだよ」


 ポンと、カイの狭い肩を叩きました。


 本当に一体、カイは何をしたのでしょうか……。


 気になります。映像を消してしまったのは、早計だったようです。


 ところで、みなさまは集まって何をしているのでしょうか?


「ゴブリンと一緒に暮らすかどうかっていう会議さ」


 なるほど。


「という名目だったんだけど、趣旨が変わってねぇ……」


 助産師さんが肩をすくめます。


 すると、今度は村長さんがカイの姿を認めて声をかけました。


「おお。カイくん……。起きたか」


 おはようございます。村長さん。


 会議の結果はどうだったのでしょうか?


「概ね好感触だ。昨日の君の活躍のたまものじゃな」


 カイは通訳ロボットです。


 異文化の生物同士の交流を手助けするのが、役目です。


「通訳の仕事もご苦労だったな。……でも、宴会の席での君の活躍があって、みなの意見をまとめることが出来た。礼をいう」


 だから、カイは何をしたのでしょうか?


「ほほ……。覚えてないのか。まあ、いい。君のおかげで、村人とゴブリンが手を携えようという気になっておるのだ。お礼を言わせてくれ。ありがとう」


 村長さんは頭を下げます。


 カイはただ自動的に何度も首を傾げることしかできません。


 本気で昨日の映像を消してしまったことを後悔しました。


「それでじゃ。実は、今妙なことになっていてな」


 妙なこと?


「これじゃよ」


 村長さんがかかげたのは、ゴブリンさんが持ってきてくれた革袋です。


 中にあるもののことを映像で再生すると、人工知能はたちまち「エラー」を表示しました。


「このお酒を村の特産品にならないか、検討しておる」


 特産品ですか?


「このお酒……。王都で売ったら、絶対売れると思うんだよね」


 第1村人さんはお酒の味を思い出して唾を飲み込みます。


「それに竜睾草を砕くなんて真似……。ゴブリンぐらいしか出来ない。私たちがゴブリンと仲良くなれば、独占販売できるって男どもは思ってる。私はそう上手くはいかないと思ってるけどね」


 でも、試みとしては面白いと思います。


 人工知能でシュミレーションしてみましょう。


 成功確率64.3%。


 これはなかなか高い数値です。


 やってみる価値はあるかもしれません。


「そこでじゃ。ゴブリンたちに農作物の作り方を教える代わりに、このお酒をどんどんゴブリンに作ってほしいのじゃ。そういう条件で良いなら、ゴブリンとの共同生活を呑むと、みんな言うておる」


「なんだかんだ言って。みんな、生活が苦しいからね。お金になるなら、ゴブリンだって受け入れるってわけさ」


 経済的な関係から始めるのは、決して悪いことではありません。


 異文化交流において、将来性や経済的メリットから入るのは、カイがいた世界でもごく当たり前に行われていたことです。


「そのようにゴブリンたちに伝えてくれんか?」


 わかりました。お任せください。


 カイは自動的に胸を叩きました。


明日も7時に更新します。

よろしくお願いします。


※ 新刊『嫌われ家庭教師のチート魔術講座 魔術師のディプロマ』発売しております。

  よろしくお願いします。

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