File27 オーバーキルはいけません!
第27話です。
よろしくお願いします。
人類のみなさま、こんにちは。
通訳ロボット『カイ』です。
ようやくガーゴイルさんを倒しました。
なかなか大変でしたが、ひとまず決着です。
“クエストを達成した”
“新しいスキルが追加されました”
お決まりの効果音とともにメッセージが表示されます。
スキルはなかなか気になりますね。
後でチェックしましょう。
ひとまず今は、ココさんを落ち着かせなければなりません。
「この! この! みんなの仇だ!」
ココさんは黒焦げになったガーゴイルさんに棍棒を叩き込んでいます。
カイの【魔法】によって、ガーゴイルさんの生命活動は停止しています。
明らかなオーバーキルです。
よっぽど恨みを買うようなことをしていたのでしょう。
しかし、そろそろ止めましょう。
人類のみなさまに映像で見せることができないほど、ガーゴイルさんは無残な姿になっていました。
ココさん、それぐらいにしましょう……。
「ダメだ! あたしの気はまだ収まってねぇ!」
そう言ったココさんの目には涙が浮かんでいました。
どうして泣いているのでしょうか?
「こいつはな! あたしのママを殺したんだよ!」
と教えてくれました。
なるほど。理解しました。
それはとても悲しいことです。
さぞお恨みのことでしょう。
しかし、死体になお打ち据えるのは、人道的にあまりよくないと、カイはそうプログラミングされています。
あれ?
でも、ガーゴイルさんは人ではないので、いいのでしょうか?
その時です。
「ココ……。もうやめろ」
低い声が聞こえてきました。
森の方から、たくさんのゴブリンさんたちが現れました。
先頭には、ココさんのパパさんがこちらに向かって歩いてきました。
「なんで止めるんだよ! こいつはママの――」
ココさんはまた棍棒を振り上げようとしました。
しかしパパさんに止められてしまいます。
さしものココさんもパパさんの力に抗うことができません。
最後には棍棒を取り上げられてしまいました。
パパさんは言います。
「違うぞ、ココ」
「何が!?」
「ママは弱いから死んだんだ」
「でも!」
「ガーゴイルはママを殺したが、さらに打ち据えるようなことはしなかったぞ」
「う――」
「だから、ココ……。お前は強くなれ。ママよりずっと強くだ」
「…………うん」
ココさんは泣きました。
大きなパパさんに抱かれて、顔を真っ青にしながら。
とても大きな声で泣いていました。
残念ですが、カイには少々理解できませんでした。
カイを作った人類のみなさまも、理解できないことではないでしょうか。
弱肉強食――。
これがゴブリンという種の考え方なのかもしれません。
とても厳しいです。
愚かとも幼稚ともいえるでしょう。
これがゴブリンさんにとって、当たり前なのだと思考します。
人類のみなさまにご奉仕する
それがカイにとって当然だと原則づけられたことと一緒です。
パパさんはココさんの涙をそっと拭います。
とても優しいです。
そして2回、ココさんの髪を撫でると、カイの方へとやってきました。
そう言えば、なんでここにいるのでしょうか?
「大きな落雷を聞いて、様子を見に来たら、お前たちがいたのだ」
なるほど。理解しました。
凄く大きな音だったですからね。
「それよりも、カイ……。ガーゴイルを倒してくれてありがとう」
パパさんは頭を下げました。
そういえば、ゴブリンさんも何かお礼する時や頼む時に頭を下げるという習性があるのですね。
これはちょっとした発見です。
記録しました。
「どうした?」
いえ。なんでもありません。
カイは頼まれたことをしただけです。
それに頭を下げるほどカイは偉くありません。
何故なら、カイはロボットだからです。
「相変わらず変なヤツだ」
パパさんはニッと笑いました。
「ココ……。お前からもお礼を言え!」
「な、なんであたしが!」
「カイについていって、色々迷惑をかけたんだろ?」
「そ、それは――――」
ココさんは顔を真っ青にしながら、カイに近づいてきました。
カイと目線を合わせません。
照れくさいのでしょうか。
心臓もドクドクいっているのをセンサーが捉えています。
「あ、ありがとな」
「頭をちゃんと下げろ」
パパさんの大きな手がココさんの頭を掴みます。
無理矢理頭を下げました。
けれど、やはりココさんは目を合わせてくれませんでした。
「ところで、カイ……。例の条件のことだが」
良かった。覚えていただいていたのですね。
「むろんだ。我々は構わないのだが、人間たちは応じるだろうか」
はい。大丈夫です。
必ず説得してみせます。
カイは胸を叩きます。
自動的に、です。
ヴァルプロではよくオーバーキルしてました。すいません。
明日も7時に投稿します。
よろしくお願いします。




