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File19 ゴブリンさんの弱点を記録しました。

第19話です。

よろしくお願いします。

 突然、木が倒れます。


 バタンバタン、と2回です。


 まさに木々を縫って現れたのは、大きなゴブリンさんでした。


 2メートル75センチぐらいはあるでしょうか。


 カイがいた世界なら、ギネスに載せられそうです。


 しかも周りのゴブリンさんとは違って、一際筋肉質です。


 もしかしたら軽自動車ぐらいなら軽く持ち上げるかもしれません。


 ともかく大きなゴブリンさんは、カイの前に立ちふさがりました。


 影が広がって、カイの周りは真っ暗になります。


「パパ……」


 雌ゴブリンさんが喜びの声を上げます。


 なるほど。パパさんなんですね。


 確かに目元とか似てますね。マッチング度85%です。


 ところでゴブリンさんって、どんな風にして産まれるのでしょうか。


 人間と同じなんですかね。


 いつかゴブリンさんの情報も知りたいところです。


 人工知能でそんなことを考えていました。


 すると、ゴブリンさんは腕を大きく振り上げました。


 手には棍棒を持っています。


 他のゴブリンさんよりも2倍大きいです。


 そして振り下ろします。


 さすがに直撃はまずいです。

 0.1sぐらい脳核がフリーズすると予測します。


 カイは自動防御機能を起動します。


 たいそうな名前ですが、大したことはありません。


 パンチです。


 振り下ろされた棍棒に、カイの拳を命中します。


 あっさりと砕け散りました。


 大きな破片が木に当たって、コーンと小気味よい音を立てます。


 木くずがカイに降りかかりました。


 パパゴブリンさんは持ち手だけになった元棍棒を見つめます。


 そしてカイを睨みました。


 まだ危害を加えるつもりでしょうか?


「パパ! やっちゃえ!」


 娘ゴブリンさんはその場でシャドーをします。


 拳で戦えということでしょう。


 他のゴブリンさんも両手を挙げて、はやし立てます。


 パパゴブリンさんもどうやらその気のようです。


 ゆっくりと近づいてきます。


 おもむろに胸を張りました。


 ドンドンと大きな拳で叩きます。


 どうやら撲ってこい、と言っているようです。


 さっき自分がやったから、今度はカイの番だ――ということでしょうか。


 正々堂々としています。


 いや、カイのパンチを食らっても平気だという意思表示かもしれません。


 ともかく困りました。


 叩くのはやぶさかではありません。


 しかしカイの背はゴブリンさんの半分ぐらいしかありません。


 なので、もっともカイがパンチしやすい箇所を考えると下腹部しかありません。


 はい。そうです。


 おち○こです。


 毛皮のパンチの下から数ミリ……。

 それらしき影が見えるのでちゃんとついてるみたいです。


 他の箇所を狙ってもいいですが、不自然に思われるかもしれません。


 しかし、それは……。

 人類のみなさまでいうところのスポーツマンシップに反するような気がするのです。


 相手が正々堂々と打ち合いを望むのであれば。

 カイも最善手を選ぶべきだと思います。


 それに人類さまの急所が、必ずしもゴブリンさんの急所とは限りません。


 選択肢はありません。


 いきます。


 カイは腰を落とします。


 格闘用のプログラムはインストールされていません。


 しかし武芸百般……。

 カイには膨大なデータがあるのです。


 ふっと息を吐きました。もちろん、物まねです。


 なるべく保存された画像のデータをトレースします。


 そして捻り込むように――。


 撲つ!


 カイの拳は……。

 ゴブリンさんの急所を貫きました。


 勢いで皮のパンツがペロリとめくれます。


 見たことない大きさの陰茎が露わになりました。

 こちらもギネス級です。


 パパゴブリンさんは、目を大きく見広げました。

 長い舌を広げた顎からべろりと出します。


 そのままもんどり打ちました。


「――――ッ! ――――――ッ!!」


 声なき悲鳴を上げます。


「パパ!」


 娘ゴブリンさんが駆け寄ります。


 他のゴブリンさんが腰の辺りをトントン叩いています。


 人類のみなさまにとっても、お馴染みの光景です。


 どうやらあそこはゴブリンさんも急所のようです。


 カイは記録しました。


カイにとってスポーツマンシップとは……。


明日も7時に投稿します。

よろしくお願いします。

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