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File18 カイは無傷です。

18話です。

よろしくお願いします。

 カイが頭を下げると、ゴブリンさんはとてもびっくりした様子でした。


「あ、あんた……。あたしたちの言葉を喋られるの?」


 はい。お聞きすることも可能です。


 カイは通訳ロボット『カイ』ですから。


「つうやく? ろぼっと? 何それ?」


 通訳というのは、異なる言語を話す人の間に立って、双方の言葉を翻訳し、それぞれの相手の方にお伝えすることです。


「ろぼっとは? 人間の魔法かなんか?」


 魔法ではありません。


 電気などのエネルギーを使って、機械装置によって動く人類のみなさまの形に似せた自動人形とお考え下さい。


 ゴブリンさんは首を傾げます。


 頭の上に「?」マークが一杯並んでいそうです。


「あんたと話していると、なんだか頭が痛くなってくるわ」


 すいません。


 カイの説明が下手なのかもしれません。


 正確にいうと、電気というのは――。


「ああ。もういいって。つまり、あんたは人間ではなくて、人間が作ったものってことでしょ?」


 はい。そうです。


「そんなあんたが何をしにきたわけ?」


 麓の村の畑を荒らしたのは、ゴブリンさんですか?


「麓の村? ……ああ、あそこね。別に荒らしたんじゃないわ。食べ物が生えてたからもらっただけよ」


 あれは農家の方が丹誠(たんせい)を込めて作った農作物です。


 無断で獲ってはいけません。


「は! そんなの人間のルールでしょ。こっちはモンスターなのよ。命を取られないだけ、マシだと思いなさいよ」


 なんと身勝手な言い分でしょうか!


「あ? 怒った?」


 いつの間にか自動的にカイは顔を赤くしていたようです。


「こっちはとっくに怒ってんのよ!」


 やおら大きな棍棒を振り上げ、肩に担ぎました。


 ゴブリンさんはとても身体が細いのですが、お力はあるようです。


「がらんがらん……。がらんがらん……と――。こっちは昼寝の真っ最中だったのに!」


 ゴブリンさんの赤い眼が光ります。


 なるほど。


 カイは理解しました。


 先ほど、凄い剣幕で怒っていたのは、どうやらカイが鳴らしていた音に対する抗議だったようです。


「つまり、あんたは麓の村の人間に頼まれて、あたしたちに仕返しを頼まれたってことでしょ」


 その通りです。


「はっきり言ったわね。みんな、出てきな」


 そういうと緑の肌の人たちが茂みから現れました。


 ひい、ふう、みぃ…………ええっと……。10体はいるでしょうか。


 みなさん、一様に武器をお持ちです。


「よそ見してるんじゃないよ」


 視覚センサーに映ったのは、棍棒を振り回す雌ゴブリンさんでした。


 コーン、と音が響きます。


 カイの顔を覆っていた兜がひしゃげて吹っ飛んでいってしまいました。


 地面にコロコロと転がります。


 雌ゴブリンさんはニヤリと笑いました。


 勝ち誇っていました。


 けれど――。


「――――!!」


 カイは無事です。


 人工知能も正常に動いています。


「あれ?」


 雌ゴブリンさんはパチパチと瞬きをしました。


 そしてまた思いっきり棍棒を叩きつけます。


 しかし、今度は棍棒の方が折れてしまいました。


「え、ええぇ!!」


 さらに驚いています。


 雌ゴブリンさんは仲間を呼びました。


 次々とカイを叩いていきます。


 カイを覆っていた鉄製の鎧が壊れていきます。


 ついには丸裸になってしまいました。


 安心してください。カイはちゃんと服を来てますよ。


 年齢制限には引っかかることはありません。セーフです。


 ついにはゴブリンのみなさまの棍棒が、折れてしまいました。


 けれど、カイには傷1つありません。


 真っ新です。差し込んだ光に、ピカーンと光ります。


「な、なんで無傷なのよ。あんなに叩いたのに」


 答えはシンプルです。


 カイがロボットだからです。


「ろぼっと……」


 雌ゴブリンさんは譫言うわごとのように繰り返します。


 カイのボディは特殊な炭素繊維で出来ています。


 ゴブリンさんは人類のみなまさと違って力が強いです。


 ですが、もの凄く身体を鍛えたプロレスラーの方と変わりません。


 カイはいわば金属の塊です。


 プロレスラーの方が、一生懸命になって叩いても金属の塊1つに傷を入れられないのと一緒なのです。


「なにわけのわからないこといってんのさ!」


 雌ゴブリンさんはカイにパンチを打ち込みました。


 コーン、と音が鳴ります。


 ビリビリと震えたのは、ゴブリンさんの拳でした。


「痛ったあああああああああああい!」


 大声を上げました。


 カイの周りをぴょんぴょんと飛び跳ねます。


 肌が緑なので、まるでカエルみたいです。


 大丈夫でしょうか? 骨折とかしてませんか?


「敵が心配するなぁ!」


 その拳を振り上げます。


 痛ッ、と悲鳴を上げて蹲りました。


 赤い眼からうっすらと涙を浮かんでいます。


 他のゴブリンさんが心配して、雌ゴブリンさんを取り囲みました。


 しばらくして、雌ゴブリンさんは立ち上がります。


「こうなったら何がなんでもあんたをこわ――」


「待て。ココ……」


 とても大きくて、威厳のある声が、カイの聴覚センサーが拾いました。


カイのようなロボットが一般的に普及する頃って、

どんな素材が使われているかな、と思う今日この頃です。


明日も7時に投稿予定です。


※ 12時に投稿予定の『嫌われ家庭教師のチート魔術講座 前日譚 ~メゾン・ド・セレマの住人たち~』もよろしくお願いします。

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