File17 はじめてゴブリンと遭遇しました。
第17話です。
今日もよろしくお願いします。
人類のみなさま、こんにちは。
通訳ロボット『カイ』です。
色々紆余曲折があって、ゴブリンさんを倒しに行くことになりました。
しかも1人旅です。
寂しくありません。だって、ロボットですから、カイは。
というわけで、早々にゴブリン討伐に向かっているところです。
てくてく……。てくてく……。てくてく……。
がらんがらん……。がらんがらん……。がらんがらん……。
てくてく……。てくてく……。てくてく……。
がらんがらん……。がらんがらん……。がらんがらん……。
やっぱり音が気になりますね。
聴覚センサーをミュートさせていても、身体の金属部分に響いてきます。
どうしましょうか、これ?
実は、カイは現在、鉄の鎧を着ています。
村のご老人の方が、昔着ていたものらしいのですが、とても古いです。
穴とか当たり前です。
そして錆びています。
もらい錆をもらわないか心配です。
これでも村の女の人に磨いてもらって多少マシにはなったのですが。
あと1ついうと、臭いです。
カイはロボットなので気にはなりませんが、センサーがその度に記録を残すので、消去が面倒です。
使われている鉄の純度も悪いです。何より薄いです。
5ミリもありません。
これではカイのボディの方がよほど頑丈です。
明確にお答えします。
いらないです。
しかし、人類のみなさまのご好意なので、無下にはできません。
同じ理由で渡された折れた直剣と、鍋の木ぶたも決して捨てたりしません。
すべては人類のみなさまのご好意なのです。
てくてく……。てくてく……。てくてく……。
がらんがらん……。がらんがらん……。がらんがらん……。
村から北へ行くと、森にたどり着きました。
この森を抜けた先にある山の中に、ゴブリンさんの根城があるらしいです。
書いてもらった地図を――そのスキャンした映像を見ながら、カイは進みます。
盛大な音が、薄暗い森の中に響きます。
予測できていなかったのですが……。
もしかしてこの装備は好判断だったかもしれません。
何故なら、音に怖がって野生動物が逃げてしまうからです。
てくてく……。てくてく……。てくてく……。
がらんがらん……。がらんがらん……。がらんがらん……。
すると、近くの茂みが動きました。
カイは停止します。
現れたのは、人――ではありません。
手や足、頭、直立歩行しているのですが、おそらく人ではありません。
まず肌の色が違います。
別に差別する意味ではありません。
人類のみなさまの遺伝的性質や外因的性質を鑑みても、おそらくあり得ない色だからです。
何故なら、草色の肌です。
他にも特徴があります。
額に小さな角みたいなのが出ています。
あとはそうですね。
特別大きいというわけではないですが、耳介がピンと立っていますね。
よく人類のみなさまは、想像上の動物とされるエルフの耳を横に伸ばしたようにお書きになりますよね。
こちらは横よりも後ろに伸びてる感じです。
他にこれといった特徴はありません。
思ったより髪が長くて、背中まで伸びています。
目を大きくぱっちりしていて、女の子みたいですね。
この場合、雌というべきなんでしょうか。
ああ……。はい。そうです。
結論から言うと、おそらくこの方はゴブリンさんでしょう。
確証はありませんが、きっと……。
“トロフィーを獲得しました。”
“はじめてゴブリンと遭遇しました。”
はい。このように知らせてくれると予測していました。
やはりゴブリンさんのようです。
「――――! ――――――――!!」
初っぱなから、ゴブリンさんは何やら怒っているように見えます。
緑の顔が少し青いです。
ゴブリンさんは興奮すると、青くなるんですね。
記録しました。
残念ながら、先ほどから何を言っているのかさっぱりわかりません。
カイにはゴブリン語なんて言葉は搭載されていないからです。
先ほど、トロフィーを獲得したので、また使える言語が解放されるはずです。
それまで待ちましょう。
しかし……。ゴブリンさんの文化は恥じらいを知らないのでしょうか。
動物の毛皮で作られた服は粗雑で、露出度が高いです。
とてもえっちぃです。
「――! ――、――――――!?」
あれ? おかしいですね。
言語はともかく、さっきから音声が拾えていないように推測します。
あ!
カイは失敗してしまいました。
聴覚センサーをずっと切っていたのです。
鎧の音がうるさかったから、停止させたのでした。
センサーをオンにします。
「ゴフゴフ! ゴゴゴゴ! ゴーゴゴゴゴ! ゴ!!」
ああ、やっぱりわかりません。
でも、ゴブリン語ってすごいですね。
「ゴ」と「ゴフ」しか言ってません。
どんな言語体系をしているのでしょうか。
逆に気になります。
ところでダウンロードまだでしょうか。
“トロフィー取得により、以下の機能が解放されました”
“使用言語が追加されました”
はい。お待ちしおりました。
では、早速開いてみましょう。
言語機能リストから……ああ、ありました。
『ゴブリン語』を選択します。
「ちょっと! あんた、聞いてるの!」
いきなりゴブリンさんは凄い剣幕で怒鳴っています。
ともかく、カイは笑いました。
笑顔は基本です。
そして挨拶も基本です。
「はじめまして。通訳ロボット『カイ』です」
カイは頭を下げました。
たまには可愛いゴブリンとかみてみたいじゃないw
明日は7時に投稿します。
よろしくお願いします。
※ 『嫌われ家庭教師のチート魔術講座 前日譚 ~ メゾン・ド・セレマの住人たち』が
明日12時に投稿します。よろしければ、こちらもお願いします。




