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File13 お酒が飲めるのは20歳からです(ただし人間に限る)

第4章第13話です。

よろしくお願いします。

「おーい」


 ドラゴンさんを見送った後、声が聞こえました。


 東に30メートルほどです。


 カイは手を下げました。


 振り返ります。


 0.1s固まってしまいました。


 つまり驚いたのです。


 象みたいな動物の上に、人が乗っていました。


 ドラゴンさんを見た後では小さいですが、十分大きいです。


 長いお鼻もあります。

 凄い毛深くて、藁葺きの屋根みたいに見えます。


 たくさんの商品が載った荷車を引いていました。


「ちょうどいいタイミングだね」


 もしかして、あれが行商人さんですか?


「そうだよ。ホント良かったよ。あんたのおかげだ」


 いえいえ、とんでもないです。


 人類のみなさまのおかげです。


「あんたぁ、これからどうするんじゃ?」


 村長さんが近づいてきました。


 どうする?


 どうしましょうか?


 特に優先すべきタスクはないのですが。


「村に来なよ。ろくなもんは出せないけどさ。村の女たちが腕によりをかけて、腹一杯食べさせてやるよ」


 いえ……。カイはロボットですから。


「遠慮することないよ、カイくん」


 第1村人さんもやってきました。


 すると、他の人もカイを見ています。


 とっても素敵な笑顔です。


 ここでお断りするのはよくないと判断しました。


「では、お言葉に甘えて。よろしくお願いします」


 カイは頭部を下げました。






 人類のみなさま、こんばんは。


 通訳ロボット『カイ』です。


 異世界生活3日目夜です。


 お昼は大変でした。


 しかし、今も大変です。


 どうしましょうか?


 お祭りです。


 みなさま、お食事を取ったり。


 踊ったり。


 お酒を飲んだり。


 賭け事したり。


 音楽が流れていたり、広場の真ん中に大きなかがり火があったり。


 とても楽しそうです。


 ああ。でもどうしましょうか。


 カイはロボットです。


 人類のみなさまに、奉仕するために生まれた存在です。


 しかし、今は逆です。


 奉仕されている側です。


 お酒を注ごうとしても、注ぎ返されます。


 お膳の手伝いをしようとしても、「主賓は座ってな」と怒られます。


 1曲歌いますといえば、微妙な顔をされます。


 結局、何も奉仕できません。


 無念です。


 そしてもう1つ困ったことがあります。


 カイの前には、たくさんの食べ物が置かれています。


 何度もいいますが、カイはロボットです。


 残念ながら、人類のみなさまの食べ物は食べれません。


 遊びでカイの口部に食物を押し込むユーザー様がいらっしゃるので、食べても壊れはしませんが、とても意味ないことです。


 まさに無意味(ジャンク)です。


 ジャンクフードです。


 さらに残念なお知らせがあります。


 どうやらこの村には、電気がないようです。


 説明しても、みなさま首を傾げるばかりでした。


 推測ですが、異世界バーラントには電気というものがないかもしれません。


 これは困りました。


 死活問題というヤツです。


 このままでは5日後に活動停止してしまいます。


 みなさまが、カイのために祝ってくれているのは嬉しいです。


 けれど、ため息が止まりません。


 これも自動的です。


 人工知能の動作がよろしくありません。


 人類のみなさまでいう『憂鬱な気分』です。


 そんな時です。


 人工知能にメッセージが浮かびました。


 “トロフィーを獲得しました”


 またですか。


 カイが『落ち込んでいる』という時に限って……。


 もう――。


 と音声を発しながら、スクロールします。


 “最初のクエストをクリアしました”


 “ドラゴンの赤ん坊と出会いました”


 “ドラゴンと信頼関係を結びました”


 “はじめて人類に奉仕しました”


 “ガネーシャに出会いました”


 “最初の村に到達しました”


 なんか色々トロフィーをもらいました。


 ところでガネーシャっていうんですね。


 あの象みたいなの。


 神様の名前ですけど、大丈夫でしょうか。


 ともかく評価を受けたのはいいことです。


 けれど、嬉しさ半減です。


 そして最後にメッセージが表示されました。


 “機能が追加されました”


 はて?


 なんでしょうか?


 カイはチェックします。


 幸い時間はあります。


 追加された機能の説明をタッチしました。


 説明にはこう書かれていました。


 《追加機能》


 【緊急エネルギー機能】

 お酒を電力に変えることができます。

 〈例〉 アルコール度数5%のお酒を500ccを飲むと、1時間充電したこと     になります。


 なんですと!!


 素っ頓狂は声を上げてしまいました。


 もちろん、自動的にです。


「どうしたんだい?」


 たまたま通りかかった助産師さんが、尋ねました。


 手にはお酒が入った木の杯を持っています。


 とってもお酒臭いです。

 呼気1リットル当たり、アルコール0.25ミリグラムありそうです。


 車の運転はダメです。


 ダメ、絶対、です!!


 しかし、今はそんなことはいいのです。


 カイは助産師さんにお願いしました。


 お酒をください。


「なんだい? あんた、可愛い顔してお酒を飲むのかい?」


 はい。先ほどまで飲む必要がなかったのですが、飲まなければならない理由が出来ました。


 助産師さんはカイの肩を叩きます。


「そうかい。そうかい。よおし、じゃあこれを飲みな」


 持っていた杯を差し出します。


 カイはお礼をいいました。


 お礼は基本です。


 視覚センサーと臭気センサーを使って、成分を分析します。


 アルコール度数10%。


 大麦を発酵させたエールというよりは、スタウトに近いです。


 色もとても黒いですね。


 これなら1杯飲むだけで、2時間充電されます。


 カイは決断しました。


 一気にいきます。


 ゴキュゴキュ……。ゴキュゴキュ……。ゴキュゴキュ……。


「おお!」


 助産師さんは目を丸くします。


 ゴキュゴキュ……。ゴキュゴキュ……。ゴキュゴキュ……。


 ぷはぁ――。


 飲み干しました。


「おおおおおおお!」


 突然、歓声が上がります。


 村のみなさま、拍手を送っています。


 カイは首を傾げました。自動的にです。


 助産師さんはカイの背中をバンバン叩きました。


「あんた、なかなかいい飲みっぷりじゃないか!」


「カイくん! そら」


 第一村人さんまで近づいてきて、お酌してくれます。


 カイは飲みました。


 また一気です。


 2時間充電されました。


 みなさまが盛り上がります。


 これはいいことです。


 充電しながら、人類のみなさまが喜んでくれています。


 異世界生活3日目。


 とてもハッピーな1日でした。


いつかカイと飲んでみたい、と思いながら、書きました。


明日も2本投稿しようと思ってます。

12時と21時の予定です。


よろしくお願いします。


【告知&宣伝】 カウントダウン投稿 2016年7月11日


ダッシュエックス文庫様より新作『嫌われ家庭教師のチート魔術講座 魔術師のディプロマ』が

7月22日発売予定です。


それに伴いまして、発売日の1週間前である7月15日より

小説家になろう様にて、

作品の前日譚をカウントダウン投稿していこうと思います。


題して『嫌われ家庭教師のチート魔術講座 前日譚 ~ メゼン・ド・セレマの住人たち ~』です。


世界観と主人公は発売される本作と一緒です。

主人公鍵宮カルマが、本作の舞台となる天応地家にたどり着くまで一体どんな(ニート)暮らしを

していたのか。その実態が明らかになります。


『嫌われ家庭教師のチート魔術講座』を買うのを迷っているそこのあなた!!

よろしければ、本作を読んで決められてはいかがでしょうか!?


本作ともどもよろしくお願いします!!

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