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File11 赤ちゃん、産まれました!

本日ラストになります。


よろしくお願いします。

 ポコン……。


 擬音にすると本当にそんな音がしました。


 大きな大きな卵が、ドラゴンさんの産道から出てきたのです。


 大量に敷き詰められた藁に受け止められます。


 陽の光を浴びた卵は、ぬらぬらテカテカと光っていました。


『むふふうううううううううううううう』


 長く息を吐き出したのは、ドラゴンさんです。


 ぐったりしています。


 お疲れさまです、ドラゴンさん。


 カイは背中の上から降りました。


 とぉっ! とジャンプしたいところですが、さすがにこの高さだとショックアブソーバーがもちません。


 オプションのバックパックがあれば、すぐにでも降りられますが、残念ながらカイはベースタイプです。オプションはなしです。


 だから、大人しく――ゆっくり降ります。


「さて。これからどうするんだい」


 地面に着地すると、助産婦さんが質問してきました。


 まずは待機です。


 あ。ダメですよ、卵に触ったら。


 卵に触ろうとした男の子を咎めてしまいました。


 ロボット失格です。ですが、致し方ないことです。


 生まれたての卵はとても柔らかいのです。


 中にはドラゴンの赤ちゃんがギュウギュウになって詰まっています。


 ショックを与えると、赤ちゃんを傷つける恐れがあります。


「なるほど。で――」


 だから、卵が乾燥するまで待ちます。


 卵が硬くなってきたら、今度は暖めます。


「産湯を使うのかい?」


 いえ。産湯は産まれてから、赤ちゃんについた羊水や血を洗うためです。


 だから、布を用意してもらいました。


「なるほどねぇ」


 本来なら番のドラゴンさんが温めるのですが、今はいません。


「わかった。そういうことなら、焚き火で囲もう。おーい、手ぇ空いてるヤツ、集まりな」


 助産師さんはみなさまに声をかけます。


 とても心強いです。


 そんな助産師さんにカイは尋ねました。


 消毒液を持っていますか?


「ああ、持ってるよ」


 助産師さんはお仕事道具を漁ります。

 小瓶に液体が入ったものを渡してくれました。


 カイは蓋を開けて、臭いを確認します。


 成分分析…………完了。


 消毒用エタノールと同等の効果ありと判断。


 おお。異世界でも消毒はエタノールなのですね。


 少し安心しました。


「それをどうするんだい?」


 産道の出口をこれで洗浄します。


 本来なら、これも(つがい)のドラゴンさんに協力してもらうのですが。


「ああ。なるほどね。貸してみな。私がやるよ」


 え? でも……。


「逆鱗を叩くなんて大役をやったんだ。疲れたろ」


 大丈夫ですよ。カイはロボットです。


 電力や人工筋繊維が経年劣化することはありますが、『疲れる』という概念はありません。


「はは。あんたはやっぱ変わってるねぇ。少しは休憩しな。まだ仕事は残ってるんだろ?」


 助産師さんは人類さまです。


 ロボットであるカイが命令を聞かないわけにはいきません。


 カイは大人しく待機します。


 その間に、助産師さんがテキパキと指示を送ります。


 そして優しくドラゴンさんの産道を消毒します。


 ドラゴンさんはとても気持ちよさそうです。


 別にエッチィ意味ではありませんよ。


「卵が硬くなってきたよ」


 助産師さんが報告してくれました。


 カイは待機状態を解除します。


 卵のところにくると、ぐるりと焚き火がくべてありました。


 では、布をかぶせて温めましょう。


 カイは号令をかけると、一斉に女の人は布をかけていきます。


 何枚も何枚もです。


 焚き火に囲まれたおかげで、卵が置いてある場所はとても暑くなっていました。


 この温度なら問題ないでしょう。


 カイは搭載している冷却機能の出力を上げます。


 人工皮膚の乾燥を防ぐため、発汗機能も使います。


 汗も自動化されているのです。


 カイはまた待機します。


 村のみなさまは、祈るように見つめていました。


 すると……。


 パリッと何かが突き破る音がしました。


 卵の上部分にかけられた布が盛り上がっています。


 カイは慌てて布をはぎ取りました。


 卵にひびが入っていました。


 おお! と歓声が上がります。


 さらにひびは蔦が伸びていくように広がっていきます。


 村のみなさまのボルテージも上がっていきます。


 卵は真っ二つに割れました。


 パッカーン、と開きます。


 現れたのは、ドラゴンさんでした。


 でも――。


 小さいドラゴンさんです。


 肌も赤く、毛も硬い皮膚もありません。


 目は閉じられていました。

 けれども、羽根はちゃんと付いています。


 まだ牙が生えていない口を開けます。


 あ。そうだ。思い出しました。


 みなさま、離れてください!


 カイは警告しました。


 村のみなさま、急いで離れていきました。


 なんとか間に合いました。


 みなさま、静かになります。


 緊張の瞬間です。


『ひぃいいいいいいいいいいいいい!!』


 叫びました。


 同時に、口から炎を吐き出しました。


 天に向かって。


 まるで産まれたぞって叫んでいるようでした。


本日もお疲れ様でした。


だいたいこんな感じで進めていきますので、

よろしくお願いします。


明日からペースを落として投稿していきます。


とりあえず、1日1~2本ペースでストックがなくなったら、

しばらく休載する感じです。


明日は12時に更新します。


よろしくお願いします。


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