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地球の肉食動物達は生まれてどの位で狩りの練習をするのだろうか?いや、そもそも本能的に練習しなくても狩れちゃうものなのか?まぁ俺には本能で狩るとか絶対無理だから練習は望むところなんだが。
ママンに連れられいつもの水辺にやって来る。俺、初めての狩りである。
ママンが言うにはここで、たまに現れるバッタを相手に練習しなさい、だそうだ。
正直に言おう、俺はマジでバッタにビビってる、だってアイツ1メートルくらいあるんだぜ?そんで飛ぶんだぜ?跳ぶんじゃない、もう羽をバタつかせて普通に飛ぶ。アレはマジでない、もう生理的に無理過ぎ。
だがしかし!もう今までのビビってた俺じゃない、なんか体が知らない間にマッチョになってるし!きっとこれが噂の異世界人チートに違いねぇ!あんなバッタなんてワンパンよワンパン!しかも今回は保護者同伴、俺の後ろにはママンがいるし!ダメでもなんとかなるでしょ!
うしっ!いっちょやりますか!
気合いを入れて1番近くにいるバッタを探す、基本的にバッタはそこらへんにいる。数はそんなに多くないけど、水飲みに来ると、毎回って訳じゃないが2、3匹は目撃する。襲ってくる訳じゃないけどやっぱあのデカさは普通に恐怖を感じる。ワンパンとか言ってたけど、触るのやだなぁ、お、野球ボールくらいの石発見!これ投げれば良くね!?やっぱアレ触るとかないよね!ちょっと別の石で練習してみるかね。
俺は付近にある手頃な石を掴んで大体20メートルくらい離れた木に向かって全力で投げてみる。
お、結構良い球投げるじゃん俺!
バキメキャッ!と音を立てて木を貫通していくマイボール。メキメキっと倒れていく木。呆然とする俺。
…ほあっつ!?
チートだと思ってたけど!!これって人間辞めてね!?え!?いつから!?俺ってばいつからこんななん!?そら石も思いっ切り握ったら割れるけどさ!!木ぃ粉砕したんですけどぉぉぉぉ!?
えぇい!考えてもしかたねぇ!今はバッタだ!多分これならやれる!
辺りを見渡すと、いた、50メートルくらい先にブーンと飛んでるアイツがいる。さっきの威力を考えると、50メートルくらいなら多分イケる。コントロールも悪くなかった。ちょっと抑え気味に投げれば貫通もしないはず。よし、それでいこう。
「死にさらせえぇぇぇ!!!!!!」
俺は投げた、もちろん全力で、むしろさっきよりも力が入っていたかも知れない。だって、アイツ生理的に無理なんだもん。
球は真っ直ぐバッタに向かって、あ、バッタ爆散した。…よぉっしゃゃゃあぁぁぁ!!アイツら殲滅すんぞおぉぉぉぉおらぁぁぁ!!
それから俺は石を投げた、バッタを見つけるたびに、全力で爆散させまくった。だって気持ち悪いんだもの、しょうがないよね!
ママンも満足したのか、明日は一緒にご飯とりに行くわよ、と上機嫌だった。
バッタ相手に無双出来たけど、ここの化け物動物に通用する気が全くしない。ママン気が早くないですか?もうちょっと段階を、あ、大丈夫ですか、後ろで見てるだけでいいですか、連れて行くのは確定なんですね、そうですか。
俺明日死ぬかも知れません。