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気がつくと薄っすら明るい何やら洞窟っぽい所にいた。岩肌は茶色く、結構乾燥してる。目の前の光が強い方を見ると、少し離れた所に見える自己主張しまくりの緑の植物達。自分が寝ていた所には藁の様な枯れ草が沢山敷かれていて、地面のゴツゴツとした感触はない、ちょっとチクチクするけども。
あれー夢?俺喰われてないの?にしてはなんかジャングルのほら穴の中っぽいしー?
疑問に感じた時に気付く、左側から何やら生暖かい風が吹いたり止んだりしてる事に。そしてそれに連動して動く首の後ろの暖かくもモフモフの感触。
ギギギギっと鈍い機械の様に恐る恐る左側を見ると静かに寝息を立てる巨大な豹。
お父様、お母様、どうやら俺は異世界に来て非常食になったみたいです。
何て言ってる場合じゃねぇ!逃げないと!
自分の体を確かめる、両手両足、ちゃんと動く!ちょっと服がベタベタ&生臭いがどうせ安物!ベタつくのは上に着てる黒のロンTだけ!下のジーンズに問題なし!靴もちゃんと履いてる!OK!体に問題なし!
俺はなるべく音を立てない様に慎重に、ゆっくりヤツを見ながら立ち上がる。
グッスリと寝息を立てる豹、よしよし、このまま俺が逃げるまで寝ててくれよー。
そのままゆっくり一歩目を踏み出そうとして、ふと気付く、その一歩目の足元の藁が微妙にこんもりしてる事に。
俺は踏み出すのを思い留まり、踏み出そうとした足で慎重にこんもりした部分をかき分ける。
うっわ!あぶなっ!アイツの尻尾じゃねーか!踏んでたらマジでヤバかったわ、あぶねーあぶねー。フフフ、こんなトラップに引っ掛かる俺ではないのだよ!
俺は内心ほくそ笑みながらそれを避け、歩き出そうとした時、何やらケツから抜け落ちる感触が…あ、多分ケツに入れてた財布落ちた。
サッと血の気が引くのと同時に尻尾に落ちる俺の財布、ばっ!と豹に視線を向け……って起きてるうぅぅぅぅ!!!
目が合うと同時に前脚で引き寄せられる、え!?え!?もう喰べられるの!?非常食じゃなかったん!?でもこれだけは言っておかな!
「お、おいしくないよ?」
無情にも近付く豹のデカイ口、あぁ俺終わったわ。