宿題!?
すみません。大けがを負ってしまい投稿が、遅れました。 これから投稿ペースが遅れますので、ご了承ください。
「よう渉~」
「ああ、おはよう」
僕は転校のことで職員室に用があると言う葉月……はぁ…なつねに職員室の場所を教えて別れ、自分の教室である2年C組に辿り着いた。
最初に声を掛けてきたのはやっぱり咲。後ろには榛原もいる。
ちなみにこの2人、学年でも有名な親友、教室内でも一緒にいることが多々ある。
「わたる、おはよう」
「奈々、おはよー。あ、そう言えばお前、昨日言ってた好き―」
「あぁー!!」
僕が昨日聞きそびれたことを改めて聞こうとしたら、奈々は突然僕の口を塞いできた。
あれ…この2人には聞かれるとダメなやつなのかな…?
そ…それはとどのつまり……やっぱり咲か…?おぉぉお!!面白くなってきたのでは!?
と、僕が密かにテンションを上げてると、奈々は僕にしか聞こえないような声で。
「…また…今度教えるから…」
「ん?あぁ、今度ねぇ…」
まぁ良いか…そんなに急ぐことでもないし、それに、葉月……なつねのことで実はそれどころじゃないし…。
そう言えば…なつねは一体何組になるんだろうか…?……ヤバイ…またの第六感が告げている…やつはこのクラスに来ると叫んでいる…。
あぁぁああ!それはマズいそれはマズい!……だって何か知らんけどなつね…今朝からちょっと様子がおかしいと言うか…昨日とは何かが違う…。
あれかな……朝飯のこと…まだ気にしてんのかな…?…いや…あれはそういうおかしさじゃないぞ…。なんか浮かれてると言うか……テンションが高いと言うか…。
って言っても、普段から無口で何考えてるか分からねぇし、デフォルトもさっぱり分からないから、まだ何とも言えねぇしな…。
…まぁ良いや…。逆に、一緒のクラスじゃなかったらうまく周りに馴染めるか不安だしな…。
僕は前向きに考えることにして、まだ席替えもされてない男女別名簿順で決められた、廊下側の前から2列目の席にカバンを置いて座った。
「よお!宿題やったのかよお前~?」
僕の隣の席から声を掛けてきたのは、相川茜 (あいかわ あかね)。
男みたいな喋り方だけど、女子列に並んでいて、女子トイレを使って、女子の制服を着ていて、女子更衣室に入っていくところを見ると、恐らく多分かなりの確立で女子なんだろう。まぁ実際、僕にも確証はないけど…。
「相川…お前も朝からハイテンションだな…」
「そういうお前はやけに沈んでんジャン?どったの?」
「どうもしてねーよ…。で、宿題がなんだって…?」
「あ?宿題だよ宿題!数学で出たろ?」
…………あっ………そういや出てた……。
…ヤベぇ…どうしよ…は決して頭が良い方ではない。それどころか、4月にあったテストでは、学年320人中130位というくらいだ。
と言っても、それにはちゃんとした事情があるのだ。僕は一人暮らし。つまり、周りの親の脛かじってるようなやつ等と比べて、俺は忙しい!よって、皆さんよりも圧倒的に勉強に回せる時間が少ないのさ!
ほら見ろ!これで分かったか脛かじりどもがっ!
と、無駄な言い訳をしているバヤイではない…どうする…?僕だって、教科書とかちゃんと読めば宿題くらいはできたはずだ。だが、ご存知の通り昨日はそれどころじゃなかった…。
どうしよ…今からやって、今までの内容もろくに入ってない僕の頭脳で間に合うわけがない……どうしよう…。
と、そんなことで絶体絶命のピンチに陥る僕じゃねぇぜ!僕の友達には、なんとも成績優秀なやつが多いのさ!
登場してるところで言うとまず咲だが、あいつはこの前のテストで24位を取っていた。何とも信じがたい話だが、咲のやつは頭が良い…。
そしてその彼女榛原は、咲をも凌ぐ16位という脅威の数字だ。
あと奈々だ。あいつも賢くて、36位…だっけ?上の2人とまではいかないが、僕からすれば対して変わらない。
しかーし、僕が今頼ろうとしてるのはこの隣のボーイッシュガール!ミス(ミスターの可能性も無きにしも非ず)相川は学年で4位という超エリートなのだ!なんともベスト4という響きが似合わないやつだが、賢さは本物だ。
「っつーことで相川様…どうか宿題を…」
「何?教えて欲しーの?見せて欲しーの?」
「……料金は…?」
「前者が100円。後者が200円」
「……………」
僕の今日の出費…まず200円だ…。こんなことがあるから…グスン…。
しっかし!これで僕の地位も安定だ。僕は財布からご登場願った200円と相川のノートを交換して、自分のノートに急いで写す。
それをシャーペンで僕の脇を突いたりして邪魔する相川…。くっ…!借りがなけりゃあ戦争を起こしてるところを…今は我慢しかない…!
「うりうり~早く写せよ~」
「だぁー!!僕はそこ弱いの!やーめーれー!」
ちなみに、僕達はいつもこんな感じだ。
こいつとは1年のときも同じクラスで席も隣だった。席替えを全然してくれない先生だったから、その位置関係がずっと続いたせいで、相川とは無駄に親しくなってしまった。
でも僕達の関係は男女の仲のそれとは大違いで、殆ど男友達みたいな感覚だ。というのも、こいつが色気も全くなしで、言葉遣いもほぼ男だから、いつの間にか異性だってことを忘れるんだ。
まぁでも、僕は正直言って相川のことはけっこう好きだ。もちろん男友達としてだけど。
こいつってけっこう統率力もあるし、なんだかんだ言って僕を助けてくれる。まぁその代わり、僕も色々協力したりしてるから、お互い持ちつ持たれつって調子で、良い関係だと僕は思う。
「ぎゃははは!かーわいーなーわたあめ~」
「わたあめ言うな!」
「え~?呼ばれ方なんてどうでも良いって言ってたじゃんよ~」
「お前は別っ!良いからツンツンはやめろ!」
俺は危うくツンツンし返そうになった腕を必死に押さえて、再びノートを写すことに集中した。高校2年にもなって、隣の席のやつとじゃれ合ってる場合ではない…。
…でも、やっぱり隣が気になって、口笛吹いてる相川に何かやってやりたくなってしまう…。
「………あかねちゃ~ん」
「ひっ!!わたあめ!!気持ち悪いんだよテメーは!!」
「あかねちゃ~ん!」
「ぎゃぁー!やめろやめろ!寒気する!」
その後僕達は、茜ちゃんわたあめと下らない喝采を上げて朝の時間を潰してしまったのだった……。
宿題?フン、今の僕には最も不必要な言葉だぜ……。