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詩、的なもの

孤独な月

作者: だくさん



おいしそうな雨、ゴミ箱の中で光る飲み残しの炭酸飲料


そんなことを考えてみる


階段の端の溝、解体された家具が放置されたゴミ捨て場


そんなところへ目が動く


今のこの感情を大切にしたいだなんて


なにを思う?僕は。


求めているのはただの風


季節が変わってだんだんと額に汗が滲んできた。


目の前と真後ろを左右に車が通り過ぎる


取り残されたみたいだ、何処かに。


電信柱がどこまで伸びているのか、上を見ずに想像してみる


ジャックと豆の木みたいに天までは続いていないんだろう。なんのために在る?


蜘蛛の巣みたいに張り巡らされた電線に触れてみて。僕はきっとそれで簡単に壊れられるから。


僕の身体がいつまで動くか、先も見ずに考えてみる


吸血鬼みたいに永遠じゃないんだろう。なんのために有る?


甘い雨は僕を育ててはくれない。


3分待てばなにかが変わるのか


青が赤と混ざり合って、ゆっくりと黒に変わっていく


鏡みたいな夜空に僕を映す、なにも見えないでしょう?


嗚呼、僕は上を向いているんだ。


実感のない現実が僕を自分自身から剥がしとった


破れたところも見えないんでしょう。目なんて見えないんだから


艶やかに輝く月は僕にたくさんのものを与えた


安息と浮遊感。


視界には孤独が広がって、僕は愛しくなる


ビルの屋上から見下ろす街並みに溶け込む猫を見えない目で追って、誘惑してくる月に目配せをした。


まだ見えるよ、消えていないから。


朝はまだ、すぐそこに。


夜に溶け込む白線が存在を露出してきた


おいしそうでしょう僕は。


襲われそうになる。夜空の月に。


少しの塩で味付けをして、僕は地面に寝そべった


また、連れ去られるのを願って


少し眠ろう、朝がくるまでに。 

僕はただ、空に語った。



――――――――

日常のいつも気に留めていないような風景、物体が急に存在感を得て目に飛び込んでくることってありますよね。僕だけかもしれないですけれど。

今日、そういうことがあったので上げておきます。


Twitter:@dakusanno

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