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俺と幼馴染と風物詩

作者: 佑紀


幼馴染の遥は、何と言えば言いかよく分からないが・・・。

とても風物詩を大事にする人だ。

その季節の風物詩を思いつく限り全て行わなければ、その季節に失礼だし、次の季節も心から歓迎できないというのが遥の持論だが、生憎一般ピーポーの俺には理解に苦しむことだった。


今の季節は夏。

スイカ割もしたし、海にも行った。祭りにだっていったし、花火も見た。

遥に付き合わされて炎天下のした、太陽を浴びながら高校の野球部の応援もした。

エアコンをガンガン効かせた部屋で扇風機の前に座り、挙句団扇を仰いだりもした。

高校生にも関わらずラジオ体操に参加し、帰りにかき氷やアイスだって食った。

他にもいろいろ付き合わされたが、俺としてはもう十分夏の風物詩を味わった気がする。


そんな夏の終わり。


「涼太、今日の夜肝試ししよう」

「肝試しって、遥は幽霊とかそういうの苦手だろ?」

「でも、思いついたからにはやり遂げないと夏に失礼でしょ」

「何度も言うけど俺はそういう考えを持っていないんだ」

「一緒に来てくれないの・・・」


遥は寂しそうな声でそう言った。

俺の苦手とする遥だ。これを見せられると、強い姿勢でいられない。

結局は俺が甘いということになるんだろうが、いつもの事だし仕方ない。


「・・・分かったよ。行くよ、肝試しでも何でもさ」

「ありがとう、涼太。時間は夜10時から。遅刻したら駄目だよ」

「了解。遥こそ遅刻するなよ」


遥が風物詩を決行するときに遅刻などありえないと分かりながら言っておく。

特に気に留める様子もなく、遥は満面の笑みでうなずいた。

不覚にも、その笑顔を可愛いと思ってしまう。


結局、俺は遥を甘やかしているんじゃなくて、遥の事が好きなんだろうな。

何度も確認してきた気持ちを再び確認して俺は思わず笑ってしまった。


「どうして笑ってるの?」


不思議そうな顔をして尋ねてくる遥に俺は何でもないと答える。

少し不服そうな顔をしたが、肝試しのための準備があるからと言って部屋を出て行った。

それから、すぐに部屋のドアが開き出て行ったはずの遥が顔を覗かせる。


「どうかしたか?」

「涼太にお礼を言っておこうと思って。いつも我儘に付き合ってくれてありがとね。大好きだよ」


それだけ言うと遥はドアを閉めもう1度部屋を出て行った。

俺は突然の言葉にびっくりしながらも、思ったよりも冷静な頭でこんな事を考えていた。


それはお礼なんかじゃないだろ・・・。

まぁ、俺の心をより嬉しくさせたわけだけど。


おそらく、俺はどうやっても遥に勝てないんだろうなと思った。


本当は長編小説で執筆を考えていた作品の第1話です。


状況が全く違うとはいえ、彼女に逆らえないという点では、現在執筆中の天使か悪魔かお嬢様かと似ている点かなと思います。


向こうにラブラブ展開がないので、こっちで思い切り書いてみました。


考えていた構想としては、ただ2人がラブラブしながら色々な風物詩を楽しむ様子を短編集のようにお送りするという事でした。


同時執筆は無理と判断し、今回短編という形で発表に至りました。


いつか機会があれば、続きを長編として執筆したいですね。


感想など貰えたら嬉しい限りです。


執筆中の「天使か悪魔かお嬢様か」もよろしくお願いします!

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