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第3話 雷撃の目覚め

 


夜の訓練場は、

静まり返っていた。


 


風が吹くたび、

木製の標的がきしむ。


 


ロンドは、

中央に立っている。


 


両手は、

汗で濡れていた。


 


「雷撃……」


 


指を突き出す。


 


バチッ。


 


小さな火花。


 


それだけ。


 


「くそ……」


 


歯を食いしばる。


 


何度も、

何度も。


 


「雷撃!」


 


火花。

また火花。


 


地面に、

拳を叩きつける。


 


「なんでだよ……」


 


胸の奥が、

じくじくと痛む。


 


昼の光景が、

頭から離れない。


 


ガルムの怒声。

フィナの怯えた顔。


 


――俺は、

足手まといだ。


 


膝をつく。


 


その時。


 


微かな声が、

聞こえた。


 


「……雷を、恐れるな」


 


顔を上げる。


 


誰もいない。


 


風の音だけ。


 


「気のせい……か」


 


だが、

胸の奥が熱い。


 


指先が、

じんと痺れる。


 


ロンドは、

もう一度構える。


 


「雷撃!」


 


バチッ。


 


今までより、

強い音。


 


白い光が、

少し長く伸びた。


 


「……今の」


 


心臓が、

跳ねる。


 


集中する。


 


呼吸を整える。


 


「雷撃!」


 


稲妻が、

標的に届いた。


 


木が、

黒く焦げる。


 


ロンドは、

息を呑む。


 


「できた……!」


 


胸が、

熱くなる。


 


何度も、

撃つ。


 


雷は、

少しずつ太くなる。


 


膝が、

笑い出す頃。


 


ロンドは、

笑っていた。


 



 


翌朝。


 


ギルドの水晶球が、

淡く光る。


 


「スキル、雷撃。

 レベル2です」


 


ミレナが言う。


 


ロンドは、

思わず拳を握った。


 


「本当ですか……」


 


「ええ。

 おめでとうございます」


 


胸が、

いっぱいになる。


 


だが。


 


一人では、

まだ怖い。


 


ロンドは、

掲示板を見つめる。


 


――小型ダンジョン

――単独可


 


紙を、

剥がした。


 



 


ダンジョン入口。


 


前よりも、

暗く感じる。


 


だが。


 


逃げない。


 


「行くぞ……」


 


松明を掲げ、

中へ入る。


 


ゴブリン二体。


 


距離、

十歩。


 


ロンドは、

指を向ける。


 


「雷撃!」


 


稲妻が走る。


 


一体の胸を貫く。


 


黒煙。


 


もう一体が、

突進。


 


ロンドは、

短剣を抜く。


 


雷を、

意識する。


 


刃に、

火花が散る。


 


「うおお!」


 


斬る。


 


雷が、

刃を包む。


 


ゴブリンは、

悲鳴を上げて倒れた。


 


ロンドは、

荒く息をつく。


 


「……勝てた」


 


奥へ進む。


 


三体目。


 


二体同時。


 


雷撃。

回避。

斬撃。


 


体が、

勝手に動く。


 


戦いが、

終わった。


 


膝に、

手をつく。


 


「俺……

 強くなってる」


 



 


最奥。


 


少し大きな、

ゴブリン。


 


棍棒を持っている。


 


ロンドは、

一歩踏み出す。


 


「来い」


 


ゴブリンが、

吠える。


 


棍棒が、

振り下ろされる。


 


ロンドは、

横へ跳ぶ。


 


雷撃。


 


胸に命中。


 


だが、

倒れない。


 


近い。


 


ロンドは、

短剣を突き出す。


 


雷を、

最大まで込める。


 


「うあああ!」


 


稲妻が、

爆ぜる。


 


ゴブリンは、

仰向けに倒れた。


 


沈黙。


 


ロンドは、

天井を見る。


 


胸が、

熱い。


 


その時。


 


夢とも現ともつかぬ声。


 


「……よくやった」


 


誰だ。


 


「力は、

 目覚め始めている」


 


ロンドは、

答えられない。


 


意識が、

遠のく。


 



 


目を覚ますと、

入口近くだった。


 


外は、

夕暮れ。


 


ギルドへ戻る。


 


水晶球が光る。


 


「雷撃、

 レベル3です」


 


ロンドは、

言葉を失う。


 


ミレナは、

微笑む。


 


「昇格試験の案内が、

 届くと思いますよ」


 


ロンドは、

拳を握る。


 


「俺は……

 冒険者だ」


 


まだ知らない。


 


その魂に、

雷神が眠っていることを。


 


物語は、

加速していく。


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