第 55 話:山の心臓
ドワーフの長、ガンテツは、岩のような巨体の持ち主だった。
ギムレットの父親でもある彼は、俺たちを鋭い眼光で睨みつけた。
「人間が何の用だ。ギムレットが連れてきたから会ってやったが、くだらん用件なら叩き出すぞ」
「単刀直入に言います。『創生のハンマー』を貸していただきたい」
俺の言葉に、ガンテツの目が大きく見開かれた。
「なっ……! 貴様、どこでそれを聞いた!」
「エルフの長老からです。世界を救うために必要なのです」
俺はオメガのこと、世界の危機について説明した。
ガンテツは腕を組み、唸り声を上げた。
「ふむ……。話はわかった。だが、あれは我らドワーフの至宝。そう簡単に渡すわけにはいかん」
「どうすれば認めてもらえますか?」
「……ちょうどいい。今、街の動力源である『山の心臓』の調子が悪いのだ。あれが止まれば、この街は死ぬ。もしお前がそれを直せたら、ハンマーのことを考えてやらんでもない」
「山の心臓」とは、巨大な地熱炉のことらしい。
俺は二つ返事で引き受けた。
「やります。案内してください」
俺たちは街の地下深くにある、地熱炉へと向かった。
そこは灼熱地獄だった。
巨大な炉が不気味な音を立てて振動している。
「アルファ、解析!」
『警告。炉心融解の危険性あり。制御システムに外部からの干渉痕跡を検知』
ただの故障じゃない。
何者かが意図的に壊そうとしている。
オメガの仕業か?




