第 54 話:鍛冶師の試練
ギムレットの工房は、熱気と金属音に満ちていた。
彼は俺たちに椅子を勧め、興奮気味に話しかけてきた。
「で、さっきの剣だが、本当に錬金術で作ったのか?」
「ああ。素材の分子構造を再構築して、強度と魔力伝導率を最大化したんだ」
「分子……? よくわからんが、とにかくすげえ技術だ!」
ギムレットは目を輝かせている。
どうやら彼は、新しい技術に対して偏見がないタイプのようだ。
「なあ、タクミ。俺と勝負しねえか?」
「勝負?」
「ああ。俺が打った剣と、あんたの錬金術で作った剣。どっちが強いか競うんだ。もしあんたが勝ったら、俺が親父……この街の長に口を利いてやるよ」
それは願ってもない申し出だ。
ドワーフの長に会えれば、創生のハンマーについて聞けるかもしれない。
「わかった。受けて立つよ」
俺たちは工房の裏庭で、強度テストを行うことになった。
ギムレットが持ち出したのは、彼が精魂込めて打ったアダマンタイトの剣。
対する俺は、即席で創ったオリハルコン合金の剣だ。
「いくぞ!」
二つの剣が激突する。
甲高い音が響き、火花が散る。
数合打ち合った後、パキンという音がした。
折れたのは、ギムレットの剣だった。
「……負けた」
ギムレットは折れた剣を拾い上げ、悔しそうに、しかし清々しい顔で笑った。
「完敗だ。あんた、すげえよ。約束通り、親父に合わせてやる」
俺たちはギムレットに認められ、ドワーフの長への謁見を許された。




