第 53 話:鉄の都市ヴォルグラード
数日後、俺たちはついにドワーフの国「ヴォルグラード」に到着した。
巨大な火山の麓にある、鉄と蒸気の都市だ。
街全体が要塞のように堅牢で、至る所から煙突が突き出ている。
「でかいな……」
城門の前には、髭を蓄えた屈強なドワーフの衛兵が立っていた。
「止まれ! ここから先はドワーフの領域だ。人間風情が何の用だ!」
案の定、門前払いだ。
俺はエルフの長老からの紹介状を見せようとしたが、衛兵は鼻で笑った。
「エルフの紹介状だと? あんな気取った連中の紙切れなんぞ、何の役にも立たんわ! 帰れ帰れ!」
取り付く島もない。
どうしたものかと考えていると、一人の若いドワーフが通りかかった。
彼は俺の腰に下げている剣を見て、目を丸くした。
「おい、兄ちゃん。その剣、ちょっと見せてみろ」
「え? ああ、いいけど」
俺が錬金術で作ったミスリルの剣を渡すと、彼はそれを食い入るように見つめた。
「こ、これは……! 継ぎ目がない!? 一体どうやって打ったんだ!?」
「打ったんじゃない。錬金術で創ったんだ」
「錬金術だと!? そんな馬鹿な!」
彼は驚愕し、俺の顔をまじまじと見た。
「俺はギムレット。鍛冶師だ。兄ちゃん、面白いな。ちょっと俺の工房に来ないか?」
「渡りに船だ。俺はタクミ。こっちはノア」
俺たちはギムレットの案内で、なんとか街の中に入ることができた。




