52/90
第 52 話:炎の国への旅
旅の途中、俺たちは野営をすることになった。
岩陰に魔法のテントを張り、夕食の準備をする。
今日のメニューは、エルフの里でもらった干し肉と、携帯食のスープだ。
「いただきます」
「……いただきます」
質素な食事だが、外で食べると美味い。
食後、ノアが俺の隣に座った。
「ねえ、タクミ。私、強くなりたい」
「強くなりたい?」
「うん。オメガと戦った時、何もできなかった。タクミを守れなかった」
ノアは悔しそうに唇を噛む。
彼女はまだ、自分の力を完全に制御できていない。
感情が高ぶった時にしか、大きな力を出せないのだ。
「練習、付き合ってくれる?」
「もちろんだ」
俺たちは食後の運動がてら、魔法の特訓を始めた。
ノアがマナを練り上げ、小さな光の玉を作る。
それを維持したり、形を変えたりする練習だ。
「集中して……イメージするんだ」
「……うん」
ノアの額に汗が滲む。
光の玉が揺らぎ、やがて綺麗な星の形になった。
「できた!」
「すごいじゃないか、ノア!」
ノアが嬉しそうに笑う。
少しずつだが、彼女は確実に成長している。
この調子なら、きっとオメガにも対抗できるはずだ。




