第 5 話:城壁の街シリル
翌朝。
体力が回復したノアと共に、俺たちは再び森を進んだ。
ノアは口数が少なく、感情を表に出さない。
ただ、俺の後ろを影のように付いてくる。
昼過ぎ、ようやく森を抜けた。
視界が開け、広大な草原の向こうに、巨大な城壁が見えた。
「あれが、シリルか……」
石造りの高い壁。
その向こうに見える塔や尖塔。
ファンタジー映画でしか見たことのない光景に、胸が高鳴る。
「すごいな、ノア。本当に異世界に来たんだな」
「……大きい」
ノアも少しだけ目を丸くして、街を見つめていた。
城門に近づくと、鎧を着た兵士が立っていた。
検問があるようだ。
身分証なんて持っていないが、大丈夫だろうか。
「アルファ、身分証なしでも入れるか?」
『問題ありません。シリルは冒険者の街として開放されており、入街税を払えば誰でも入れます。一人銀貨 1 枚です』
「銀貨……持ってないぞ」
『マスターのポケットに入っています。神からの「初期装備」です』
ポケットを探ると、確かに革袋が入っていた。
中には金貨と銀貨が数枚。
神様、気が利くじゃないか。
入街税を払い、門をくぐる。
そこは、活気に満ちた異世界の街だった。
石畳のメインストリート。
並ぶ露店。
行き交う人々。
人間だけでなく、耳の長いエルフや、獣の耳を持つ獣人もいる。
「うわあ……」
俺はキョロキョロと辺りを見回す。
完全に田舎者丸出しだが、気にしていられない。
ノアは俺の服の裾を少しだけ掴んで、はぐれないようにしていた。




