第 40 話:君は、君だ
「誰だ、お前は」
俺はノアを庇うように前に出た。
少年はフッと笑う。
「僕はオメガ。ノアの後継機にして、完成された神の器さ」
オメガ。
ノアと対になる存在。
彼から放たれるプレッシャーは、先ほどのゴーレムとは桁違いだった。
「僕の目的は、完全なる神になること。そのためには、ノア、君の持つ『オリジナル・コード』が必要なんだ。大人しく僕の一部になってよ」
「断る!」
俺は即座に銃を構え、発砲した。
だが、オメガは指先一つで弾丸を止めた。
「野蛮だねえ。人間ごときが僕に触れられるとでも?」
オメガが手を振ると、衝撃波が発生し、俺は吹き飛ばされた。
「がはっ!」
「タクミ!」
壁に叩きつけられる。
骨がきしむ音がした。
強い。強すぎる。
「さて、まずは邪魔者を消そうか」
オメガが俺に掌を向ける。
黒いマナが収束していく。
死ぬ。直感的にそう悟った。
その時、ノアが俺の前に立ちはだかった。
「やめて!」
彼女の体から、眩い光が放たれる。
それはオメガの黒いマナを相殺し、押し返した。
「ほう、腐ってもオリジナルか。だが、出力が足りないね!」
オメガが力を強める。
光と闇が激突し、遺跡が激しく揺れる。
「タクミ、逃げて!」
「馬鹿野郎! 置いていけるか!」
俺は痛む体を無理やり起こし、錬金術を発動させた。
閃光弾。
目くらましだ。
「うおっ!?」
強烈な光に、オメガが一瞬怯む。
その隙に、俺はノアの手を掴んで走り出した。
「走れ! 脱出だ!」
俺たちは崩れかける遺跡の中を、必死に駆け抜けた。
背後からオメガの怒号が聞こえるが、振り返る余裕はない。
なんとか地上へ出ると、俺たちは馬車に飛び乗り、全速力で砂漠を走り去った。
「……はあ、はあ。撒いたか?」
『敵影、確認できません。一時的な撤退に成功しました』
助かった。
だが、これで終わりじゃない。
オメガは必ず追ってくる。
そして、彼の口ぶりからして、世界中に彼のような存在がいるかもしれない。
俺たちの旅は、世界の存亡をかけた戦いへと変わってしまったのだ。




