第 38 話:過去の記録(ログ)
最深部に到達した。
そこは、巨大なモニタールームのような場所だった。
壁一面にスクリーンがあり、中央には操作コンソールが置かれている。
「ここ……」
ノアがコンソールに近づき、手を触れる。
すると、部屋の照明が点灯し、スクリーンにノイズが走った。
『システム起動。ようこそ、マスター・ノア』
機械音声が響く。
そして、スクリーンに映像が映し出された。
それは、過去の記録だった。
白衣を着た研究者たちが、忙しそうに動き回っている。
彼らの中心にあるのは、巨大な培養カプセル。
その中には、一人の少女が眠っていた。
幼い頃のノアだ。
「……これ、私?」
映像の中の研究者が語りかける。
『プロジェクト・テオゴニア。人工神計画、第 13 段階。素体名ノア。マナ適合率は理論値をクリア。彼女こそが、我々が待ち望んだ「神の器」となるだろう』
人工神計画。神の器。
不穏な単語が並ぶ。
彼らは、ノアを使って人工的な神を創り出そうとしていたのだ。
『しかし、感情制御に問題あり。廃棄処分を検討……いや、凍結保存とする。未来の技術に託そう』
映像が途切れる。
ノアは呆然とスクリーンを見つめていた。
「私……人間じゃ、ないの?」
「ノア……」
彼女は作られた存在。
実験動物のように扱われ、失敗作として捨てられた。
その事実は、あまりにも重かった。




