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第 34 話:南への旅立ち
準備万端。
俺たちは王都を出発し、南へと向かった。
目的地は、砂漠の向こうにある「クロノスの遺跡」。
馬車で 1 ヶ月ほどの長旅だ。
「行ってきます!」
アリス王女や公爵に見送られ、馬車が走り出す。
王都の街並みが遠ざかっていく。
「……タクミ」
「ん?」
馬車の中で、ノアが俺を見つめていた。
「ありがとう。私のために、こんな遠くまで」
「何言ってるんだ。俺も知りたいんだよ。ノアのこと」
俺はノアの頭を撫でた。
彼女は目を細め、嬉しそうにする。
「私、思い出すのが少し怖い。でも、タクミと一緒なら大丈夫な気がする」
「ああ。どんな過去があっても、俺はノアの味方だ。絶対に見捨てたりしない」
「……うん。信じてる」
ノアは俺の肩に頭を預けた。
窓の外には、のどかな田園風景が広がっている。
だが、南に近づくにつれ、景色は徐々に荒涼としたものに変わっていくはずだ。
俺たちの旅は、核心へと近づいている。




