第 30 話:対決と救済
「小娘が! 私の実験体ごときが歯向かうか!」
ガリウスが杖を振るう。
放たれたのは、極大の火球。
だが、それは俺たちに届く前に消滅した。
ノアが手をかざし、魔法そのものを「無効化」したのだ。
「なっ!? 私の魔法を!?」
「あなたの魔法は、マナを歪めてる。だから、元に戻しただけ」
ノアの力は「マナの制御」。
マナで構成された魔法なら、彼女の前では無力だ。
ガリウスが狼狽する隙を、俺は見逃さなかった。
「アルファ、身体強化最大出力!」
『了解。リミッター解除』
一瞬で距離を詰め、ガリウスの杖を叩き折る。
そのまま彼の胸ぐらを掴み、壁に叩きつけた。
「終わりだ、ガリウス」
「ぐ、ぐおおお……!」
俺は彼を拘束し、黒い水晶の方を向いた。
これを壊せば、魂は解放されるはずだ。
「ノア、頼めるか?」
「うん」
ノアが水晶に触れる。
優しく、語りかけるように。
「もう大丈夫。みんな、お家に帰ろう」
パリン、と水晶にヒビが入る。
そこから溢れ出した光の粒子が、天井を突き抜けて空へと昇っていく。
それは王都中に降り注ぎ、眠っていた人々のもとへ還っていった。
「……ありがとう、お姉ちゃん」
どこからか、そんな声が聞こえた気がした。
ノアは涙を拭い、俺に微笑みかけた。
「終わったね」
「ああ。よくやったな」
事件は解決した。
だが、ガリウスの言葉が引っかかっていた。
「私の実験体」。
ノアの過去は、まだ深い闇の中にある。
俺たちの旅は、ここで終わりじゃない。
むしろ、ここからが本当の始まりなのだ。




