第 29 話:黒幕の正体と禁忌の魔術
「王宮魔術師団長、ガリウス。彼が怪しい」
公爵に情報を伝えると、彼は青ざめた。
ガリウスは王国の英雄とも呼ばれる大魔導師だ。
だが、アルファの証拠データは動かぬ事実を示していた。
「奴は『不老不死』の研究をしていたという噂がある。そのために、若者の魂から純粋なマナを抽出しているとしたら……」
許せない。
自分の欲望のために、罪のない人々を、そしてかつてはノアをも犠牲にしたのか。
「俺が止めに行きます」
「しかし、相手は国一番の魔術師だぞ!?」
「関係ありません。俺には最強の相棒がいますから」
俺はノアを見た。
彼女はもう震えていなかった。
「私も行く。終わらせなきゃ」
「ああ。行こう」
俺たちは王宮の地下へと潜入した。
アルファのハッキングで警備システムを無効化し、最深部の研究室へ。
そこには、巨大な魔法陣と、その中央に浮かぶ黒い水晶があった。
水晶の中には、無数の光――奪われた魂たちが閉じ込められている。
「ほう、ここまでたどり着くとはな」
奥から現れたのは、白衣を纏った男、ガリウスだった。
優男風の見た目だが、その目は狂気に満ちている。
「素晴らしいだろう? この純粋なマナの輝き! これさえあれば、私は神にも等しい永遠の命を手に入れられる!」
「そのために、どれだけの人が苦しんでると思ってるんだ!」
「凡人の命など、偉大なる研究の礎になれるのだ。光栄に思うべきだろう?」
話が通じる相手じゃない。
俺は錬金術で創った剣を構えた。
「ノア、下がってろ。こいつは俺がやる」
「……ううん。私も戦う。あの子たちを、助けたいから」
ノアが前に出る。
その体から、怒りと決意のオーラが立ち上っていた。




