第 24 話:新たな旅の準備
出発の日。
街の門の前には、俺が錬金術で創り出した特製の馬車が止まっていた。
見た目は普通の幌馬車だが、中身は別物だ。
「すげえ……これ、本当に馬車か?」
見送りに来たベルン氏が目を丸くする。
馬車の動力は、馬ではなく魔導エンジン。
ゴーレム技術を応用した自動運転機能付きだ。
内部は空間拡張の魔法が施されており、広々としたリビングと寝室、キッチンまで完備している。
まさに「走るキャンピングカー」だ。
「これなら王都までの長旅も快適だろ?」
「……すごい。お城みたい」
ノアも目を輝かせて車内を見回している。
食料庫には、アルファ特製の長期保存食がぎっしり。
護身用の魔道具も、結界発生装置から自動迎撃システムまで完備している。
過保護すぎるとアルファに言われたが、備えあれば憂いなしだ。
「それじゃあ、行ってきます」
「ああ、達者でな! いつでも帰ってくるんだぞ!」
ベルン氏や冒険者仲間たちに手を振り、俺たちは馬車に乗り込んだ。
エンジンが静かに唸りを上げ、馬車が滑るように走り出す。
遠ざかるシリルの街並み。
俺たちの最初の故郷。
少しだけ寂しさを感じながら、俺は前を向いた。
「次は王都だ。どんなことが待ってるかな」
「……うん。楽しみ」
ノアが俺の隣に座り、そっと肩を寄せてくる。
その温もりがあれば、どこへだって行ける気がした。




