第 23 話:旅立ちの決意
領主館からの帰り道、俺たちは無言だった。
ノアはまだ少し顔色が悪い。
彼女の失われた記憶。
それが「眠り病」と関係しているなら、王都へ行くことは、彼女の過去を知ることに繋がるかもしれない。
だが、それは同時に、今の平穏な生活を捨てることを意味する。
「……タクミ」
宿に戻ると、ノアが俺の服の袖を掴んだ。
「私、行きたい。王都へ」
「ノア……いいのか? 怖い思いをするかもしれないぞ」
「怖い。でも、知りたいの。自分が誰なのか。なんで、あの病気のことを知ってるのか」
ノアの瞳には、強い意志が宿っていた。
もう、守られるだけの少女じゃない。
自分の足で、自分の過去と向き合おうとしている。
なら、俺がすべきことは一つだ。
「わかった。行こう、王都へ」
「……うん!」
俺はアルファに呼びかける。
「アルファ、王都への旅の準備だ。最高の装備と、快適な移動手段を頼む」
『承知しました。マスター。長距離移動用ゴーレム馬車の設計図を展開します』
俺たちはシリルを離れることを決めた。
翌日、ギルドへ行き、リリアさんやサラさんに別れを告げた。
「寂しくなるわねえ。でも、あんたなら王都でもやっていけるわよ」
「頑張りなさいよ! 有名になったら自慢してやるから!」
皆の温かい言葉に見送られ、俺たちは新たな旅立ちの準備を進めた。




