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第 20 話:シリルの英雄と二人の絆
鉱山の入り口に戻ると、工夫たちが駆け寄ってきた。
「お、おい! 空気が変わったぞ!」
「体が軽くなった! あの頭痛が嘘みたいだ!」
俺たちが戻ってきたのを見て、彼らは歓声を上げた。
「錬金術師様! あんた、一体何をしたんだ!?」
「ちょっと悪い空気を掃除してきただけですよ。もう大丈夫です」
俺がノアを背負ったまま親指を立てると、工夫たちは涙を流して感謝した。
その後、商人ギルドのベルン氏も駆けつけ、俺の手を握りしめて感謝の言葉を述べた。
「君はシリルの英雄だ! この恩は一生忘れん!」
報酬の金貨 100 枚も、即座に支払われた。
だが、それ以上に嬉しかったのは、宿に戻って目を覚ましたノアの言葉だった。
「……タクミ、ありがとう」
「ん? 俺が礼を言いたいくらいだよ。ノアがいなきゃ無理だった」
「ううん。私、役に立てた。それが、嬉しい」
そう言って、彼女ははにかんだ。
自分の力が誰かのためになる。
その実感が、彼女の心を少しずつ溶かしているようだった。
「ああ、これからも頼むぜ、相棒」
「……相棒。うん、悪くない」
こうして、俺とノアの絆はより深まった。
シリルの街での生活は順風満帆。
このまま平穏な日々が続くと思っていた。
あの馬車が来るまでは。




