第 18 話:汚染されたマナ
ノアの力で危機を脱した俺たちは、さらに奥へと進んだ。
最深部に到達すると、そこには奇妙な光景が広がっていた。
壁一面にびっしりと張り付いた、黒い粘液のようなもの。
そこから、不快な瘴気が漂っている。
「なんだこれ……」
『解析完了。これは「マナの澱み」です』
「マナの澱み?」
『はい。地下水脈のように流れるマナが、何らかの原因で滞留し、腐敗した状態です。これが周囲のマナを吸収し、鉱石の生成を阻害しています』
つまり、この黒いのが元凶か。
鉱脈が枯れたのも、工夫たちが倒れたのも、こいつが原因だったわけだ。
「どうすればいい? 燃やすか?」
『物理的な干渉は無効です。マナそのものを浄化する必要があります』
「浄化か……。俺にはそんなスキルないぞ」
困った。
錬金術は物質には強いが、エネルギーそのものを扱うのは専門外だ。
その時、ノアが黒い澱みに近づいていった。
「ノア、危ないぞ!」
「……これ、悲しんでる」
「え?」
ノアは澱みに手を伸ばす。
すると、彼女の手から再びあの淡い光が溢れ出した。
光が澱みに触れると、ジュワッという音と共に、黒い色が薄れていく。
「……浄化できるのか?」
『推測。ノアの生体エネルギーは、極めて純度の高いマナで構成されています。彼女の干渉により、澱みが中和されています』
すごいなノア。
だが、澱みの量は膨大だ。
ノア一人では、全てを浄化する前に倒れてしまうだろう。
「俺にも手伝わせてくれ。アルファ、俺の魔力をノアに送る方法は?」
『「魔力譲渡」のパスを構築します。マスターの手をノアの背中に当ててください』
俺はノアの背中に手を当てた。
温かい。
俺の中にある膨大な魔力を、ノアへと流し込むイメージ。
「いくぞ、ノア」
「……ん!」
二人の力が合わさり、洞窟内が眩い光に包まれた。




