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第 16 話:街からの特別な依頼
天才錬金術師の噂は、街の有力者たちの耳にも届いていた。
ある日、俺の工房に立派な馬車が止まった。
降りてきたのは、恰幅の良い紳士。
商人ギルドの長、ベルン氏だった。
「初めまして、水瀬殿。噂はかねがね」
「どうも。何の用ですか?」
「単刀直入に言おう。君に依頼したいことがある」
ベルン氏の表情は真剣だった。
彼が持ちかけた依頼は、街の経済に関わる重大な問題だった。
「実は、街の近くにある『北の鉱山』で、鉱脈が枯渇し始めているのだ」
「枯渇? 掘り尽くしたんですか?」
「いや、まだ数十年は持つはずだった。それが急に、鉱石が採れなくなった。それどころか、坑道に入った工夫たちが体調不良を訴えている」
原因不明の現象。
普通の調査団を送っても、何もわからなかったらしい。
そこで、天才と噂される俺に白羽の矢が立ったわけだ。
「報酬は弾む。金貨 100 枚だ。どうだろう?」
「金貨 100 枚……」
破格だ。
それに、工夫たちが苦しんでいるのを放っておくのも寝覚めが悪い。
「わかりました。引き受けます」
「おお、感謝する!」
俺はノアを見た。
彼女も小さく頷いている。
「よし、行くぞノア。久しぶりの冒険だ」
「……ん」
俺たちは装備を整え、問題の鉱山へと向かった。




