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光の欠片、闇の余白  作者: こっくん
第二章 断層都市

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聖ペルトニック 7-2 溶けていく呪い

 「..あぁ、ここは..どこだろうか..?」


 地面から出てくる冷たさを感じながら、その4つの手足で立ち上がると、そこはまるで奇怪な世界が広がっていた。上から下へ、下から上へ。とても現実的には思えない曲がり方をしている電車と自動車が忙しく高架の上を少しの物音を添えて走り、無秩序で、前衛的なマンションが規則的に立ち、顔が存在しない人間たちがそれぞれの使命に向かっているかのように、まるで軍隊の行進のように歩いている。


 アモルはこのような運命の悪戯に困惑せざるを得なかった。歩いてみると、ただの無機質なマンション、そしてマンションとマンションの間を貫くように自動車が走行していった。そして人々はまるで正解を知っているかのように、何も平然かの如く、さながら長年このような秩序を維持してきたのような。この世界は上手くできているとは決して言えないが、上手くできているのだ。


 このような都市を目にしたアモルはその光景を見た瞬間、ひとつの言葉が脳裏に浮かんだ。——断層都市。秩序と混沌が擦れ合う境界、その名がふさわしいと感じた。この世界が無機質に、規則通り並んでいる一方、アモルの神殿では不規則に物事が進んでいる..それと対比する形で「断層都市」と名付けた。


 それにしても、とても近未来的で、前近代的な世界だ。まるでピラミッドみたいに中心から郊外へ、高さが規則的に15階低くなるように設計され、駅は等間隔に置かれ、そして人間はそれぞれの仕事に向かって突き進んでいる。アモルはこの「断層都市」についていやでも好きでもない、なんとも言えない感情になった。


 ..しかし、よく見るとこの世界には信号機というものがない。しかし、この奇怪な自動車と人間たちはちゃんと事故なども起こさずに礼儀正しく移動している..なぜなのだろうか?人間ではなく、まるでロボットのようだ。


 ..もし、あの孤島や山の斜面の街のように、誰かの考えによってこの人間たちも操作されているとしたら..その操作している人間はとてもエキゾチックな人間だな。アモルはそう考えた。


 ..それよりも、この世界のこういった無機質な建造物たちは。自分も操作することができるのだろうか?試しに試してみよう..アモルがマンションの一つに触り、変えてみようとする..しかし、どうやってすればいいのだろうか?普通に思考を変更したらいいのだろうか?このマンションを公園にしてください!とかか?


 そう思考してみると、なんと本当にマンションが公園へと変わったではないか。遊具自体はそこらにありそうな質素なすべり台ではあったが、アモルにとっては興味深く感じた。例え逆に自分が誰かから見られていたとしても、こうやって操作できることはとても面白く感じた。


 しかし、それ以上に恐怖に感じたのは、マンションから公園に変えたと同時に一斉に周りの顔のない人間たちがアモルに、目がないはずなのにまるで視線を合わせているかのように顔の向きをアモルに向けていたのだ。まるで異端を見つけた群衆のように。声もなく、ただ一斉に、歩きながらアモルを見ていた。


 無機質な視線の群れに呑まれながら、アモルはふと自分の手に違和感を覚えた。..灰色に染まっている。皮膚が街の壁と同じ質感に変わり、指先からコンクリートの線が伸びてゆく。


 ——観測していたはずのアモルが、観測される側になってしまった。


 「嘘だろ..?..私はこの世界に吸収されていくのか、それとも私が、この世界に入って夢でも見ているのだろうか..?」


 その瞬間、どこからともなく声がした。電柱の影か、ビルの隙間か。スピーカーかはわからないが。


 「お前は見ていると勘違いしていたか?」


 「お前は、見られているんだ。」


 「ここは夢でもない。運命であり、宿命だ。」


 街そのものが、アモルの思考を反芻しているようだった。アモルはなんとかして一目散に逃げようとしたが、そこら中の道路が形を変え、まるで彼を包み込むかのように閉じ込めてしまう。


 先ほどの公園への変形がよくなかったのかと考えていたが、公園からマンションへの変更はできなくなっていた。


 ..照明が一瞬、まばたきをする。まるで世界が息を吸い込むように。

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