聖ペルトニック 魂の業火
多分、アモルはまさに「神」になったんだと思う。超がつくほどの問題は「信者」まさに動かなくなってしまったところだが..アモルはこの現状に何をするのだろうか?
..あぁ、また異変だ。少し奥へと進んでいくと、建物の一部が「無」となっている。あぁ、黒く塗られているとかではない。本当に「無」だ。よく、片目だけ閉じると、端に「無」が見えるだろう?まさにそれがあったのだ。アモルは、少し気持ち悪い気分を押し殺してまた歩きを進めた。
そしてその下に目をやると、多分、看板だったところの文字が意味のわからない図形と化していた。あぁ、建物の輪郭が粉になり、そこから「欠片」が..出てこない。「欠片」もどうやらこの世界では停止しているようだ。
人生はこんなものなのだろうか。まるで世界を「解体」しているかの如く建物の輪郭はあいまいになりつつある。そして人の体や顔も、だんたんと曖昧になってゆく。まるで雑に混ぜて捨てるかのように。
「..自分が何かを見なければ、世界が崩壊するとでもいうのか..?」
アモルはこの世界の神として、自由にこの世界を動かすことができるだろう。多分、彼にとっては不本意だったのだろうが。いざ「観測者」へと舞い戻ったが、今回はあの山の街や、孤島のように自由に操作できるとか、そんなことはできない。自分の、まさに身を切ってこの世界を観測しなければならないのだ。そうしなければ、永遠の「無」へアモル自身も放り込まれてしまうだろう。
「..神は今頃この地面の下に埋まっているだろうな..」
アモルは、この世界に神はいない。とっくに前に死んだし、今ごろただのデータとして数字の上を踊っている。そう感じた。神がいるのなら、なぜこんな世界を作るのだろうか?あのクソッタレの「鏡の民」とかってやつを、なんで作ったのだろうか?疑問でしかない。
ノイズが広がる。目が寄生されたかのように、世界の一部が「無」へと変わってゆく。アモルには2つの選択肢があると思う。一つは、この世界をなんとかして「観測」することでこの世界の維持に努めるということだ。これは、アモル自身にとっても、自分自身を救うきっかけになるだろう。
もう一つは、観測をあきらめ、この世界、アモルごと「無」へと変えることだ。絶望的に感じるが、直後にあの「観念の海」がきてまたどこかへといくことになるだろう。
「……世界は見られてはじめて存在できる。じゃあ、自分は?」
まだ覚悟はアモルになかった。




