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光の欠片、闇の余白  作者: こっくん
第五章 停止

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聖ペルトニック 停止すべき世界

 ..文字通り「鏡の世界」が停止していたのだ。街行く人々は停止し、時どころか、風、音、空気自体が停止している。大いなる力、観測。アモルはその力を感じざるを得なかった。


 いや、時計の針が進んでいないというのは間違っていたようだ。時の針そのものの概念が消えている。本来時計台があったと考えられるところには針が存在せず、ただ30度ごとに1を増加させているだけでいる。大いなる力、観測。世界を動かすべきではないか?


 人々は動いていない。瞬きすらしていない。本来、人間というのは完全に止まることはできないはずだ。ならば、人々は死んでいるのではないかと考えるべきなのか?いや、違う。確かに心臓は動いている。脳で考えているかは..アモルには不明であった。大いなる力、観測。彼らに慈悲を与えるべきではないだろうか?


 彼一人が呼吸し、運動をすることができる。彼一人だ。しかし、この世界はまるでこの異物をそのまま請けいれるかのように静止している。吐き出すこともなければ、せき込んで異物を追放させようとすることすらしない。大いなる力、観測。この大地にも慈悲を与えるべきではないだろうか?


 ..よくみると、空の雲は一度も動いていない。あの噴水から流れてくる水もその空間で静止している。炎はまるで絵のごとく止まっている。大いなる力、観測。アモルの何がいけなかったのだろうか?アモルの罪はなんなのだろうか、一度でも私たちに知らせてくれ。


 絶望的な世界だ。もっと絶望的な世界になった。データ上になってそこらへんをさまよっていた方がよかったかもしれない。アモルはそのように考えすらするようになった。大いなる力、観測。アモルがあなたに反抗したのがいけなかったのですか?


 自分の足音だけがこの空虚なる世界に響きわたり、その呼吸音、心臓の鼓動がまるで鏡の如く反射している。なぜこうなったのだ?大いなる力、観測。どうしてこんな仕打ちをアモルはわざわざ受ける必要があるのだろうか?


 「うっ...うあぁ...え..」


 アモルはあまりの驚きに、吐いてしまった。そして、その場で泣きじゃくった。この希望もない大地に、どこから脱出すればいいのだろうか?アモルよ、お前自身が経験した絶望。これがだな?大いなる力、観測よ。アモルに慈悲を。


 その吐き、目から涙を流し、可哀そうに泣く音も、この世界にはただの栄養分であるというのだろうか?不思議にも、その嘔吐したものからは特ににおいもしなかった。あぁ、そうだ。この世界は空気ですら止まっていたな。


 ..大いなる力、観測よ。これがあなたがすることでしょうか?

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