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光の欠片、闇の余白  作者: こっくん
第三章 鏡の信仰

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聖ペルトニック 6-4 進化の果てに

 ..神像が完全に停止し、都市の一角の建物はまるごと消滅してしまった。世界は静まり返っている。


 ..しかし、沈黙の下で物質、無機物の胎動、ざわめきが起きていた。微かに地面、少し遠くにある建物が揺れ始める。世界が再起動した後、起きることは未然にわかることだろう。


 建物、地面がもろくなっていく。「欠片」が壁、地面、あちこちから出ていく。再起動というよりは「初期化」であったのだろうか?


 アモルはその怪奇現象になんとなく慣れてしまった。正直、「欠片」なんて酸素と同じくらいみてきてしまった。しかし、顔のない人間たちが突然跪づき、祈りをささげる。顔のない人間たちはただのロボットではなく、信仰心ある人間たちだった。顔がなくなった原因は結局わからないが..


 「……これが、再生の代償なのか?」


 アモルは立ち尽くしながら呟く。どんどんと壁がもろくなり、一部はもう崩落してしまった。「欠片」はどうも壁の構成材料だったようだ。


 ..アモルが立ち尽くしているうちに、奥から..あの大波が来た。「光の波」だ。「観念の海」だ。空に浮遊していた「欠片」たちが一斉にその海に向かってゆく。まただ。「再起動」だ。「初期化」だ。


 ある人間は、その大波にまるですがるように突っ込んでいった。ある人間は、その大波に逃げるようにあの中央のタワーへといった。ある人間は、その場でただ立ち尽くした。ある日、命令が届かなくなった瞬間、人間はこのような動きをするのだろうか。


 アモルはそんな人々を見ながら、自分がかつて「承認されたい」と願っていたことを思い出す。だが今、誰も、そして何も「観測してくれない」。


 観測は止まり、存在は意味を失った。


 そして、アモルはあの人間のどれでもなかった。残り少ない時間を使い、この神像に向き合うことであった。その姿はもう神ではない。人間とこの断層都市と、そしてアモル自身の思考が混ざった「像」。この世界を混ぜ合わせた結果生まれた呪物なのだ。


 ..声が聞こえた。周りはすべて白くなり、まるで閉じ込められたかのようであった。


 「汝、我ヲ止メルカ。否、我ヲ受入レルカ。」


 ..アモルは気づく。この問いは外部からではなく、自分の意識の反射である。


 「止めれば虚無、受け入れれば同化」..この二者択一であった。どちらも、明確に救いではない。だが、選択しなければ、世界は永遠にこの大波による「観測の揺らぎ」に閉じ込められる。もちろん、アモルもこの例外ではないだろう。


 ..アモルにとって、答えは一つであった。


 「..ならば、「証明」ごと終わらせようか。」


 アモルはその手で重い「像」を打ち負かした。「観念」の核を破壊した。その瞬間、またあの都市へと意識が戻された。


 ..大きな穴があった。そして、そこにはあの神殿でも見た、さっきも見た、あの「観念の海」があった。後ろを見ると、まるで寄生の如く光の波が都市を飲み込み、そこから「欠片」を抽出している。何もなくなった。アモルの足跡が、起きたことを記憶づける。


 彼は静かに呟く。


「神は死んだ。……いや、私たちが「神に観測されること」をやめただけだ。」


 神と共に神官としての彼は心中を果たした。光は一点に集まり、またアモルは大いなる海へと「入水」していった。

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