きずな星がつなぐ、25時の宙の彼方に
風の薫りに
ふりかえる秋日向の
小径の先には
キンモクセイが咲いて
ふと気づけば
足もとに黄金色をした
縫いかけの
絨毯が敷かれゆくように
秋舞台の
粧いを始めた景色の中に
山葡萄の実は
宝石のように紅く碧く
木葉月の街を
ほのかに流れる金の風
うろこ雲は
空に白銀を色づけて
見つけた笑栗に
風草がやさしくゆれながら
夕月夜の風に
かすかな
千里香の薫りを感じて
空の彼方から
流れゆくのは星の風
遥か東の地平線から
秋の夜空へと
広がりゆくのは
うお座の星々
宙の海へと
泳ぎ出す魚たちは
心まで染めるような
青海波の銀河に
宙の彼方から
輝き出すのは絆の星
秋の夜空の
南の宙へ向かいゆく
双魚の星と星を
つなぐアルレシャは
きずな星
それぞれが
心に描き
大切にしているもの
目に見えなくても
かけがえのないもの
その輝きを
大切にできたら
ハープのような
月が秋を奏でながら
星明かりがやさしく
さしこむ窓辺の
一冊の小説
風がページをたぐり
光が栞をはさむように
今日という
物語がまた綴られていく
秋時雨の日も
風の強い日も
雲の背中には
太陽が
そこにあるように
一歩ずつを重ねて
過ごす一日一日は
夢へと続く、星の道
その道の途中で
出逢う星の絆を
大切にしていけたら
25時の星空
秋舞台の
粧いを始めた景色の中で
どんな場所からも
つながる言の葉が、きっと
心に浮かぶ
きずな星がつなぐ、宙の彼方へ
黄道十二星座の一つ、うお座は、秋の南の空で光はささやかですが、魚の姿の二人の神が離れないよう互いを紐で繋いだ形で、結び目の星・アルレシャ(アラビア語で「紐」)は、絆の象徴とされます。
木葉月は10月、笑栗はイガグリが開いて微笑みに似た様子です。葡萄の花言葉は「思いやり」、風草はイネの仲間で、花言葉は「未来」です。
キンモクセイは、秋口に小さな金色の花が咲き、「謙虚」「交流」などが花言葉で、遠くまで香りが届き「千里香」とも呼ばれます。
季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。