4-5.最後の刺客
松田が龍馬に幕府残党の刺客が動き出したことを報告してから数日が経過した。江戸は静かな日常を取り戻しているように見えたが、その裏には再び緊張感が漂っていた。龍馬の周囲は警備が強化され、志士たちが昼夜を問わず周囲を警戒している。しかし、松田は感じ取っていた――この静けさが嵐の前触れであることを。
「龍馬さん、気を引き締めてください。彼らは間違いなくあなたを狙っています。今度の刺客は前回とは違います。もっと徹底的に、確実にあなたの命を奪うつもりです。」
松田は緊張した面持ちで龍馬に言った。彼が未来から来た者であることを意識してか、松田の言葉は重く響いた。
龍馬はその言葉を静かに聞きながら、少し笑みを浮かべた。
「心配せんでええ。わしの命が狙われとることは今に始まったことやない。けど、松田くんがこうまで言うてくるってことは、今回のはよっぽど危ないってことやな。」
龍馬はやや冗談めかした口調だったが、松田の警告を真摯に受け止めていた。
---
その夜、松田は一人で宿の外に出た。警備が強化されているにもかかわらず、彼の胸には嫌な予感があった。幕府の残党はこれまでの失敗を繰り返すような甘い相手ではない。龍馬が生き続けることで、歴史が大きく変わってしまうという事実を知っているかのように、刺客たちは確実に龍馬を狙ってくるだろう。
松田は月明かりの下、街の裏通りを静かに歩いていた。彼の胸中には、未来に戻るべきか、あるいはこの時代に残るべきかという葛藤が再び渦巻いていた。だが、その思考が途切れる瞬間が訪れた。
暗闇の中から、不意に数人の男たちが姿を現した。彼らは一斉に松田を取り囲み、冷たい視線を彼に向けた。
「お前が松田か……龍馬を救い続けている男だな。」
その中の一人が静かに言った。その声には、冷酷な決意がこもっていた。松田は背筋に冷や汗を感じながらも、冷静に対応しようと努めた。
「あなたたちは……また龍馬を狙っているのか?」
松田は短刀に手をかけ、男たちの動きを警戒した。彼らの目には、まさに命を奪う覚悟が宿っている。
「龍馬が生きている限り、この国はさらなる混乱に陥る。だからこそ、我々は彼を消さねばならない。そして、お前もだ。お前がいる限り、我々の計画はことごとく狂ってしまう。」
その言葉に、松田は息を呑んだ。自分の存在が歴史にどれだけ大きな影響を与えているのか、そしてそれを彼らがどこまで理解しているのか――その深さを感じ取った。
「……待て!僕は龍馬を救うためにここにいる。あなたたちの考えている未来が正しいとは限らない!」
松田は必死に言い返したが、男たちは刀を抜き、静かに松田を取り囲んでいった。
「もう、お前の存在自体が歴史を狂わせているのだ。未来がどうなるかは、我々が決める。」
その瞬間、男たちが一斉に動き出した。松田は必死に応戦しようとしたが、数の圧倒的な差に圧倒され、すぐに追い詰められていく。
「くそ……ここで倒れるわけにはいかない……!」
松田は短刀を握りしめ、何とか反撃を試みたが、圧倒的な状況に飲み込まれてしまった。だが、その時――
「松田くん、大丈夫か!」
龍馬が駆けつけ、陸奥たちも続いて到着した。彼らは即座に松田の周囲を囲んでいた刺客たちに応戦し、状況が一気に激化した。
「龍馬さん、危険です!あなたも狙われています!」
松田は叫びながら、必死に龍馬に注意を促したが、龍馬は冷静なまま刺客たちを退けようと奮闘していた。
戦闘は激しさを増し、宿の周囲は騒然となった。松田も再び短刀を握り直し、龍馬を守るために全力で戦った。自分が歴史に与えている影響がどれほど大きいのか、その責任が彼を強く動かしていた。
---
ついに、刺客たちは陸奥や志士たちによって押し返され、戦闘は終息した。松田は肩で息をしながら、その場に膝をついた。
「……何とか、乗り切れた。」
松田はそう呟きながら、龍馬に目を向けた。彼は相変わらず冷静で、戦いの中で一切動じることがなかった。
「松田くん、また命を救ってくれてありがとうな。わしも君も、まだまだやることが残っとるみたいや。」
龍馬は笑顔で松田にそう言ったが、松田の胸中には再び重い葛藤が渦巻いていた。自分が龍馬を守ることで、未来がどう変わるのか――その責任の重さが一層のしかかっていた。
☆☆☆☆☆&ブックマークしてもらえると嬉しいです!
つまらないと思った方は☆
お前の割に頑張ったと思った方は☆☆
普通と思った方は☆☆☆
やるじゃんと思った方は☆☆☆☆
面白いと思った方は☆☆☆☆☆
是非ご協力お願いいたします!




