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影の王  作者: ナンデス
第3章: 龍馬との邂逅
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3-2. 策士、勝海舟

数日後、松田は龍馬に連れられ、再び勝海舟の元を訪れていた。幕末の情勢が急速に変化する中、勝海舟はその知略を駆使して、冷静に状況を分析している人物だった。彼の元を訪れるのは、倒幕の計画を進めるうえで不可欠な動きだった。


勝海舟の屋敷に入ると、彼はすでに二人を待ち構えていた。勝は書物を手にしながら、龍馬と松田を見つめ、静かに微笑んだ。


「龍馬、お前が生きているのはわかっていたが……松田くん、君のことも噂になっているな。」

勝は松田に目を向け、その言葉を投げかけた。松田は緊張しながらも、冷静を装って勝海舟に頭を下げた。


「噂……ですか?」

松田は自分が何を噂されているのか不安に感じながら尋ねた。勝海舟は少し笑って、再び松田に視線を向けた。


「君が何者なのか、いろいろな噂が飛び交っているよ。未来から来たとか、過去を変えるための工作員だとか……」

その言葉に、松田の心は大きく揺れた。自分の正体が徐々に明るみに出ている。未来のことを誰にも話していないはずだが、噂は広がり、何者かに感づかれているようだった。


「まあ、そんなことは重要じゃない。」

勝海舟は軽く手を振り、話を切り替えた。


「今重要なのは、これからの動きだ。龍馬、お前が生きていることで、倒幕の動きが加速している。それはわかっているが、敵対勢力も黙ってはいない。幕府側も本格的に動き始めているぞ。」

勝の言葉に、龍馬は真剣な表情で頷いた。


「そりゃあ、わかっとる。わしが生き延びたことで、幕府のやつらも焦っとるやろうしな。けど、今は動くしかない。」

龍馬の決意は揺るがない。松田もその言葉に鼓舞されながらも、やはり心のどこかで未来への不安を拭いきれなかった。


「動くのは構わんが、策は必要だ。何も考えずに突き進むと、命を失うことになるぞ。」

勝海舟は淡々と話を続けた。その冷静な言葉には、長年政治の裏で立ち回ってきた策士の視点があった。


「さて、松田くん。」

勝は再び松田に向き直り、鋭い目で彼を見つめた。


「君はこの状況で、どう動くべきだと考えている?龍馬を助け、倒幕を進めることが本当にこの国のためになると信じているのか?」


その問いは、松田が避けてきた核心に触れるものだった。勝海舟の目は、彼の内面を深く覗き込むような鋭さを帯びていた。松田は一瞬言葉に詰まったが、意を決して答えた。


「……正直に言えば、未来がどうなるかはわかりません。でも、今は龍馬さんを助けることがこの国のためになると信じています。彼が生き続けることで、より良い未来が開かれると思っているんです。」

松田の言葉は、自分自身に言い聞かせるような響きだった。未来を知る者として、過去を変えたことの責任を感じながらも、今できることを選び取るしかないという気持ちが強くあった。


「そうか……だが、歴史はそう簡単にはいかない。」

勝海舟は重く答えた。彼の顔には、歴史の激流を知る者としての覚悟が見て取れた。


「龍馬、お前が命を狙われていることは明らかだ。敵はどこにでもいる。だが、倒幕が成功しても、その先に何が待っているかは誰にもわからん。新しい時代が来るかもしれんが、それが平和とは限らない。」

勝の言葉は、松田の胸に鋭く突き刺さった。未来の知識を持ちながらも、その未来がどのように変わるのかは未知数だ。龍馬を救ったことで、日本が混乱の渦に巻き込まれる可能性もある。


「それでも……龍馬さんを助けたいんです。」

松田は強い意志でそう言った。自分が起こした変化に対する責任を感じながらも、龍馬と共に新たな時代を迎えるために動くしかないと決意していた。


勝海舟は松田の答えを聞いて、しばらく沈黙していた。やがて、彼は小さく笑みを浮かべて言った。


「わかった。君がそこまで言うなら、私も協力しよう。だが、覚えておけ。歴史は常に予測できない方向に進む。未来を知っていても、その通りにはならんことが多いんだ。」

その言葉には、長年歴史の渦に巻き込まれてきた勝海舟ならではの冷徹な現実が込められていた。


---


その後、勝海舟との会談を終えた龍馬と松田は、再び京都に戻るための旅に出た。彼らはこの会談を通じて、倒幕に向けたさらなる戦略を練ることができたが、松田の心の中には依然として重いものが残っていた。


龍馬が生き続けることで、日本の未来は確実に変わりつつある。だが、その変化が良い結果をもたらすかどうかは、誰にもわからない。松田は、未来を知る者としての重荷を背負いながら、次第に自分自身の選択が迫られていることを感じ始めていた。


「松田くん、わしはあんたを信じとる。未来がどうなるかはわからんが、一緒に歩んでいこうや。」

龍馬の言葉は、松田の心を少しだけ軽くしてくれた。だが、未来に対する不安が完全に消え去ることはなかった。


彼は、まだこの時代に残り続けるべきなのか、それとも未来に戻るべきなのか――その選択が、刻一刻と迫っていた。

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