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影の王  作者: ナンデス
第3章: 龍馬との邂逅
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3-1.未来の重さ

松田は、自分がこの時代に引き起こしている影響をますます意識するようになっていた。坂本龍馬を救ったことで、歴史が変わりつつある。それだけでなく、自分の存在がこの時代の人々にどれほど深く影響を与え始めているのかを実感し、心に重くのしかかっていた。


ある日、松田は再び龍馬と二人きりで会話する機会を得た。京都の外れにある古びた茶屋で、二人は静かにお茶を飲みながら今後の動きを話していた。だが、龍馬は松田の様子に気づいていた。


「松田くん、最近、どうも様子が違うようやけど……何か悩んどるんか?」

龍馬は穏やかに問いかけた。その言葉に、松田は一瞬迷ったが、ここで隠し事をしても意味がないと思い直し、口を開いた。


「……正直に言うと、自分がこの時代に与えている影響が怖いんです。あなたを救ったことで、歴史は変わり始めています。それが良い結果をもたらすのかどうか……僕にはわかりません。」

松田の声はどこか揺れていた。未来から来たという自分の正体を、この時代の人々に完全に理解させることは難しい。だが、龍馬はじっと彼の言葉を聞いていた。


「そりゃあ、未来のことなんて誰にもわからん。わしも、松田くんも同じや。」

龍馬は静かに茶をすすり、優しく笑った。


「けど、わしらがやらなあかんのは、今この瞬間、できることを精一杯やることやろ。未来がどうなるかは、その結果に過ぎん。それを恐れて、何もせんのはもったいないわな。」


その言葉に、松田はしばらく黙っていた。坂本龍馬は、目の前にある「今」を強く生きる人間だ。未来を恐れず、結果を受け入れる覚悟を持っている。その姿勢が、松田にはまぶしく見えた。


「でも……あなたが生き残ったことで、何か重大な問題が起こるかもしれない。もしかしたら、あなたの命を救わない方が良かったのかもしれない。」

松田のその言葉に、龍馬は眉を少しひそめた。


「ほう、そんな風に考えとったんか。わしが死んどった方がええ未来があった、ちゅうわけか。」

龍馬は少し皮肉っぽく笑ったが、その表情は真剣だった。


「松田くん、わしは今まで何度も命を狙われてきた。何度も死にかけたし、もうこの命がいつ尽きてもおかしくないと思っとる。けど、そんなことを考えても、やっぱりわしは死ぬまでやるべきことをやるしかないんや。」


その言葉は、松田の心に深く響いた。坂本龍馬という人物は、確かにこの時代の「分水嶺」だ。彼が生き続けることで、日本の未来は変わり続ける。だが、彼自身はその変化を恐れず、ただ前に進む覚悟を持っているのだ。


「わしは、松田くんが助けてくれたことを後悔しとらん。君がどこから来たかは、ほんまのとこはまだわからんけど、わしにとっては大事な仲間や。それだけで十分やろ?」

龍馬はそう言って、にっこりと笑った。その笑顔に、松田は少しだけ肩の力が抜けた。


「……そうですね。あなたの言う通りかもしれません。」

松田は自分が抱えていた不安が少し和らぐのを感じた。龍馬と共に過ごすことで、彼はこの時代の人々ともっと深く関わることを決意した。未来がどうなるかはまだわからないが、今は龍馬の隣で行動することが重要だと感じたのだ。


---


それから数日後、松田たちは新たな行動を起こすために動き出していた。龍馬は、各地の志士たちと連絡を取り合い、倒幕に向けた計画を練っていた。その過程で、松田はある事実に気づいた。


「……おかしい。」

松田は一人、龍馬の元に駆け寄り、地図を広げた。


「この動き、何かが違います。あなたが生きていることで、すでに歴史の流れが変わり始めている。新たな人物が関与し始めているんです。」

松田は、未来の記憶と照らし合わせながら、違和感を口にした。龍馬の行動が原因で、もともと存在しなかった勢力や人物が浮上し始めていたのだ。


「新たな人物……か。」

龍馬は地図を見つめ、考え込んだ。彼もまた、自分が生き残ったことで状況が変わりつつあることを感じていた。だが、その変化が良いものかどうかは、まだ判断できなかった。


「まあ、どっちにせよ、動くしかないやろな。わしらがここで止まっても、何も進まん。」

龍馬は静かに言った。松田はその言葉に頷いたが、胸の中に再び不安が膨らんでいくのを感じた。


---


夜が更け、松田は一人宿に戻った。龍馬の言葉に勇気をもらったものの、未来を知る者としての責任が彼の心を重くしていた。


「もし、このまま歴史が変わり続けたら……未来はどうなるんだろう?」

松田は再びその疑問に囚われた。未来がどう変わるかを知るのは、彼しかいない。だが、龍馬の言う通り、今できることをするしかないのかもしれない。そう自分に言い聞かせながらも、松田の心の中には、まだ大きな葛藤が残っていた。


彼が未来に戻るべきなのか――それとも、この時代に残り、龍馬と共に歩むべきなのか。その選択が、松田の胸中でさらに重くのしかかっていた。

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